検索窓
今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:155,528 hit

ツイート11 ページ13

「……そう。四人とも、帰っちゃったんだ」



私が目を覚ましたのはあれから数時間がたった頃だった。

あのあと私はやまだぬきとおいかけっこをして遊ぶ、という楽しい楽しい夢に入りこんでしまったらしく、現実に戻ってこれたのは美味しそうな味噌汁の匂いで大きなお腹の虫が鳴ったときだった。


「ちょっと遅いけどご飯にしようか」なんて言って畳に置かれたちゃぶ台にコトリと私の前に味噌汁を置いてくれたおばあちゃんに甘えて、ちゃぶ台に並ぶ料理にがっついていた私におばあちゃんがあの話を切り出したのだ。


正直いって忘れていたとは言わない。


おばあちゃんの話によると、あのあと私はこの畳の部屋に運ばれて寝かされていたらしい。四人はしばらくの間そわそわと私を見守ってくれていたらしいが、一本の電話で申し訳なさそうに四人帰っていったという。


いや、仕事とかもあるからしょうがないよね!

なんて自分に言い聞かせるも、どうしてもその声は暗くなってしまう。


……だって、



(だって、私なんにもできなかったんじゃん!!)



大好きな彼らを前にしたことと言えば、変なところで勝手にうずくまってた私に優しく話しかけようとしてくれた志麻くんを前に固まっちゃって、さかたんが近くにいたのになんか知らないけどすぐ気を失っちゃったことくらい。他の二人に関しては姿すら拝んでない。



ああ、絶対変な人認定されてる!

いや、実際変な人なのかもしれないけど、もしかして変な人には会いたくないってもうここには来てくれないかも!?


嫌な想像は次から次へとうかんできて。


目の前で幸せそうにご飯を口に含んでいるおばあちゃんを見たら、あぁ、私のせいで常連さん四人がいなくなっちゃうかもしれない、ともう罪悪感しか出てこなくなって、私のせいでこのお店が……ともっともっと悪い想像を進ませてしまうと、今度は途端に悲しくなってしまった。



のどの奥が苦しくなって、ダメ、違う、とその箸を置いたら「あらあら、どうしたの」なんて言って優しく頭を撫でられるものだからもっと感情がおさえきれなくなってしまった。




そんなしんみりとした夜で終わった今日。




「昨日はうちの坂田が本っっ当にすいませんでしたああああっ!!!」


「「すんませんでしたああああっ!!」」


「苦しかったやろ!?ごめん、ホンマごめんっ!!」



明日の朝、そんな彼らが頭を下げて玄関の先にいるなんて。

ツイート12→←ツイート10



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (321 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
1107人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!(´;ω;`) (2019年12月5日 20時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - ふぅ…(誤字はホモ) (2019年8月29日 22時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - もう読み替えすん5回目です〜〜!やっぱいい作品は何回読んでもおもろいねんなぁ (2019年8月29日 22時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
ねこぬこ - ゆでたまごで顔の筋肉死にましたwwwwww (2019年6月15日 21時) (レス) id: d648c1255c (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - さかセンのうんこ吹いたwwwwww (2019年6月2日 16時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ふくろう | 作成日時:2019年5月15日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。