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「アレクサンドルって言ったら吸血鬼の一族か。…また面倒な地位のガキを拾ったもんだな」
「家、わかんない」
「迷子ね、確かにこんなに暗くちゃ見えねぇな」
泣きそうに眼を赤くする葛葉を抱きあげ、夏翠は空へと飛び立つ。空はもう暗いが、周りはある程度見えるはずだ。
「どの辺が家とかわかるか？」
「…あっち」
葛葉の指さした方には、薄らと屋敷が見えた。おそらくあれが家だろう。よし、と葛葉の頭を一つ撫でると、掴まってろよ、と声をかけ屋敷めがけて飛んでいく。
早い風を感じた葛葉の表情は綻んだものの、それよりも、自分よりもはるか大人である夏翠に、少し憧れを抱いたようだった。
「ほれ、ついた」
「…ありがと」
屋敷の前に着いたが、葛葉は夏翠から離れず、ぎゅっと衣服を握っていた。
「夏翠、吸血鬼？」
「違う、死神」
「僕が大人になるまで生きてる？」
「死神は神だぞ、そもそも死なねぇ」
「…また僕と会ってくれる？」
「気が向いたらな」
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作者名：ヨッコラセ | 作成日時：2022年9月19日 20時
