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「じゃ、配信はこの位にしておきましょうか。まだ話したい人は葛葉の配信に行ってね」
「今日はしないけどな」
>もう終わりか
>葛葉配信待ってるぞ!
「…あーい」
1時間ほどゲームをして配信を終わらせると、少しばかり沈黙が流れた。
「…配信、出来そう?」
「まあ、ちょっと気持ちは軽くなったかも」
俺の気持ちを軽くさせるために、叶はわざわざ配信をしてくれたらしい。
確かに、叶のリスナーだけど、優しい言葉をたくさんかけてもらった。
明日か明後日にでも、何食わぬ顔で配信してみようかな。
「よし、一息ついたし買い出し行くか。卵がないんだよ。サーシャ、行くぞ」
「え、俺も?」
「客人の叶くんに行かせるわけにはいかないから。叶くんはゆっくりして待ってて」
「はーい」
「ええ…、もー、めんどくさいなあ」
ぶつぶつと文句を言いながらも靴を履いては、行こうか、と隣に並んで家を出る。
スーパーまでは近いけど、いつもは買い溜めするから車で行く、閃ちゃんの運転で。
でも、今日は歩いていこうか、なんて話になった。まぁ、買うものも少ないし。
一通りの多い表道じゃなくて、閃ちゃんはふらりと裏道を選んだ。少し遠回りなのに。
首を傾げた俺が後ろを着いて行くも、理由はすぐにわかった。
「手、繋いでこ。たまにはいいじゃん」
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作者名:ヨッコラセ | 作成日時:2022年9月7日 11時