【刀剣乱舞】ソノ槍、折ラレケム【男主】

34粒：桜の花 ページ36

突然風が吹き

何処からともなく桜が舞い込んで

猛烈な文字通り桜吹雪となる。

桜色の花弁が視界を遮り

一寸先すら見通せない。

「ボクはね…桜の花のように気高く、そして儚く散り消えるんだよ」
「…桜花殿…？」

桜が桜花殿の周りを取り囲むように集まり、

桜色の竜巻となる。

竜巻が止むと中からはA殿が姿を見せ

重力に任せるようにグラリと倒れる…


のを間一髪で受け止めた。

「だ、大丈夫ですかな…？」

返事はない。

姿は大体、元に戻っているようだが、

背中からはまだギギギギと音を立てて

骨が姿を見せている。

どうするべきか…

「と、とりあえず絶対安静で手入れ部屋まで運ぼう」

慌てた様子で駆け寄ってくる光忠殿。

「それらも手伝うぜ。な、日本号」
「しゃーねぇなぁ」

御手杵殿と日本号殿も力を貸してくれて

極力動かさないように手入れ部屋まで運んだ。

力仕事を短刀達にーってわけにもいかないだろう？

手入れ部屋には既に蜻蛉殿がいた。

正座で背筋を凛と伸ばし目を閉じて。

障子の開いた音で目を開けこちらを見ると

静かに頷く。

中に入れと言っているのだろう。

中に入り蜻蛉殿の前になるよう

Aをそっと横たえる。

「…蜻蛉殿…何か手伝えることがあればいたしますが…」
「大丈夫だ…ただ、此処には誰も立ち入らせないでくれ」
「了解いたしました…」

二振りのみを残して

手入れ部屋を後にした。

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