【刀剣乱舞】ソノ槍、折ラレケム【男主】

23粒：堕ちる ページ25

がたがた

本丸中が酷く揺れた。

地震か？いや、違う様だ。

敵の気配を感じる。

中庭の方からだろうか？けれど…

「なぁ、蜻蛉。これって敵の気配だよなー？」
「あぁ、そうだ…」

それだけ言って俺も御手杵も小首を傾げる。

本丸は主と政府の結界によって

守られていたはずだ。

でも何故そんな本丸の中に敵が現れるのか。

「とりあえず行ってみようぜぇ？推測してたって無駄だろうしよぉ」
「そうだな」

日本号の言葉を受けて、

急いで中庭の方へと向かった。

そこにいたのは…

「Aっ……！！！」
「なんだぁ？ありゃ」

日本号が素っ頓狂な声を上げる通り、

Aはもはや

Aとは言えない姿だった。

背骨や肋骨が皮膚を突き破って露出し、

白目だったところは漆黒に染まり、

空色の瞳は異様に光っている。

極め付けに橙の炎の様なものを纏っている。

「やっと来たか。蜻蛉切」
「長谷部殿、あれは…」
「堕ちた。いつの間にかは知らないが」

長谷部は馬鹿な奴だな

と言わんばかりに鼻を鳴らす。

そんなことが気にならないくらい、

自分は動揺していた。

確かにAは過去に色々あったから

やり直したいことも沢山あるかもしれない。

けれど、彼は自身の過去を

悲観してはいなかった。

確かに卑下する様に

自身のことを妖刀と言うこともあった。

それでも…

「蜻蛉さん…Aさんが呼んでます」

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