ギミーキッスミー ページ6
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『A』
『……ちょっと、』
静かに、とAは隣の席の神威へ向け、人差し指を立てて唇につける。絶賛国語の授業中である現在、Aは神威を嗜めた。
『見て見て』
『だから、静かに……って何ソレ』
神威の指差した物を見る。それはノートに書かれた落書きで、可愛らしい二人の丸キャラが、向かい合ってキスをしていた。
片方の丸キャラはアホ毛を生やしており、下に「Kamui」と書かれている。
『俺とA〜』
『なんでキスしてんのよ!』
『良いだろ、絵ぐらい。それとも何、キスしたくなった?』
ペロリと自身の唇を舐める妖艶な舌先に、Aは何も言えずに押し黙ってしまう。顔だけはいいのだ。顔だけは。
『次はAが股開いてる絵でも描こうかな』
『やめろ!』
神威からノートを奪い取り、ナイフのような視線で睨みつける。しかしそんなAの頭上には、一直線に教科書が降りかかった。
『篠宮Aさん、お静かに』
『……はい』
吉田松陽先生に叩かれた頭をさすり、Aは恨めしそうに神威を見る。神威はニッコリと微笑んで、彼女の心情など知らん顔だ。
腹が立ったAは、口パクで神威を貶す。
『バカ、アホ、ウン……痛っ!』
コの口をした瞬間、再び頭に衝撃が走って。恐る恐る前を向けば、松陽が黒い笑みを携えてAを見下ろしている。
『あの……その……』
忙しなく目線を動かし、言葉を探すも言い訳が思いつかない。観念して小さな声で謝罪すると、松陽は廊下を指差す。
『立ってなさい』
『はい……』
そんな彼女をニコニコ笑って見ている神威に、次の休み時間にぶん殴ることをAは決意した。
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アリス(プロフ) - 面白かったです! (2022年4月2日 8時) (レス) @page10 id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
RIO - めっちゃ続き気になります!更新待ってます!! (2022年3月29日 7時) (レス) @page10 id: 759836d8d0 (このIDを非表示/違反報告)
アキ(プロフ) - すごく面白かったので、これからも頑張ってください…! (2022年3月24日 18時) (レス) id: 011262e667 (このIDを非表示/違反報告)
みっ! - ハルさん!ずーっと前から拝見させていただいていて、ふと戻ってきたら銀魂また書いて下さっていて嬉しかったです!ハルさんのペースでがんばってください!楽しみに待ってます (2022年3月14日 1時) (レス) id: 54732a6668 (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - ハルさんの紡ぐ言葉が大好きで、また今回も素晴らしい作品を〜と噛み締めて読んでます!✨ (2022年3月2日 21時) (レス) id: 6c0400a92a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハル | 作成日時:2022年2月19日 18時