俺の方が愛してるよ (ページ26)

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裏編1（MK）＊表編1の裏編ページ26

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MK said

あの子が学校を出てくるのは、だいたい18:00過ぎ

その時間に合わせていつも通りに通学路を歩いてたら

俺の少し前を歩くあの子を見つけた

そして、横断歩道に差し掛かり

信号で１回止まって、青になって歩き出すあの子を見届けて

スマホを触るふりをして渡りきるまで見ていたら

中間くらいまで歩いた所で、信号無視の車が目に入った

周りの人があの子に危険を知らせて声をかける中

あの子は身体が強ばって動けないらしく

最終的に生きるのを諦めたように目をつぶった

それを見た俺は、自らその横断歩道に飛び込んで

その子を庇ってお互いに怪我をしない避け方もできたのに

わざと車に当たって自分の身体を犠牲にした

そうした方が俺にとって都合が良かった

だって、この子を守った英雄になって

俺とこの子の何らかの繋がりができて

その流れで1度でも話せるならって思ったんだ

でも、あの子にとって俺の行動は

ものすごく罪悪感を植え付けるものになったらしい

俺が手術を終えて目を覚ますと

あの子は俺の母さんと同じくらいの女性とやってきて

俺の顔を見た瞬間に深々と頭を下げた

「なんで謝るの？君はなんにも悪くないじゃん」

『いや、でも、怪我までさせてしまったので』

「俺は君が死ななくてよかったと思ってるよ」

本当に君のせいじゃないんだよ

俺が避けれたのにわざと当たりに行ったから、これは俺のせい

でも、君が死ななくて良かったと思ってるのは本心だよ

死んだら、俺……、悲しすぎてどうにかなってたかも

やっと君と話せたのにさ

このままじゃ名前すら呼べずに終わりそうだよ

俺、ずっと君の名前を口に出したかった

それで、ずっとずっと君を直接呼んでみたかった

だから、初めましてのふりをして「君は？」なんて

自己紹介するように促した後

「AはS高なんだね」

『はい。マークさんは？』

「俺はN高だよ。それでサッカー部」

やっと、やっと「A」て言えた

それに、Aから「マークさん」て呼ばれるのも初めてで

内心ものすごく浮き足立っていたんだけど、バレてないよね？

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