Seasons ー第3章ー

戻ってみますか？ ページ9

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スーパーに寄って手に取るのは餃子の皮。


誕生日だもん、やっぱりこれでしょ。



両手いっぱいの食材を抱えて家に着くと、玄関には見慣れたスニーカー。




「あれ？健太くんもう帰ってたの？CL配信するって言ってなかったっけ？」


「終わってすぐ帰って来た。Aが遅かったら拗ねるかなと思って」



へらっと笑う健太くんに正面から抱き着くと、当たり前のように抱きしめ返してくれた。



「ねぇ健太くん。インスタのコメント、わざとAにしたでしょ？最近ひどいよ。そろそろ怒られるって」


「別に悪いことしてるわけじゃないし。…あ、でも。陣さんに言われた。お前らどうなってんの？って。瑠唯も最近俺へのアピールひどいしさぁ。あれ俺らが噂になってるからカモフラージュしてくれてるらしいよ。の割にはみんな楽しんでて悪いよなぁ」



私の頬をむにむにと引っ張りながら喋る健太くん。




私と健太くんの関係は相変わらず宙ぶらりんのままだ。


私の気持ちは100％健太くんに伝わってるだろうけど、健太くんの気持ちは正直わからない。


私のことは好きでいてくれてると思う。


大事にしてくれてるし、特別扱いもされてるはず。


でも―――今の関係を変化しようとまでは考えてないんだと思う。





「………そろそろ、戻ってみる？」





顔を上げると健太くんは至って真剣な表情で私を見つめていた。



コクリと頷くと柔らかいものが唇に触れる。





「好きだよ、A」





二十歳の誕生日以来の「好き」という言葉に、嬉し涙を流したのは言うまでもない。





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