過去◆2017 想定外の告白 ページ48
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目が覚めると心配そうな顔で陣さんが私の手を握っていた。
「…陣さ、ん。迷惑かけてごめんなさい」
「ええよ、ええよ。気にすんな。みんなツアー前で気張ってるからしゃあないねん。でもひとりで悩むのは禁止な」
「はい、すみませんでした」
起き上がって布団を捲るとジャージが床に落ちた。
拾い上げた陣さんが私に手渡すと、ふわりと香ったのは健太くんの匂い。
「…っ、陣さん」
「ん?」
「もしかして、健太くんが運んでくれたんですか?」
「違うよ。倒れてる雪を見つけたのは翔吾と翔平。健太はたまたま近く通りかかっただけやって」
「そうですか、」
静かな空間に鳴った通知音。
寛太くん焼肉食べたいから付き合って
全然空気が読めてない内容に思わずクスッと笑うと陣さんに頭を撫でられた。
「なぁ雪。その相手が誰かは知らんけど、自分を笑顔にしてくれる人は大事にした方がええよ。最近の雪は全然笑ってないねんで?」
ーーーーーー
「寛太くんってどうやって演技してるの?」
「は?いきなり何?役者仕事でも入った?」
トングでお肉をひっくり返しながら眉間に皺を寄せる寛太くんに、お箸を持っていた手を止めた。
「感情がコントロールできたらいいなと思って。たとえば心の中では泣いてても見た目は笑ってる、とか。寛太くんならできるんでしょ?」
「いや、できるわけねぇわ。どうした?みんなの前で大泣きでもした?」
「……笑ってるつもりなんだけどね、陣さんに笑えてないって言われちゃって。いつまで経ってもみんなに心配かけてる。二十歳になったんだけどなぁ」
へへっと笑うといつになく真剣な顔の寛太くん。
「たかが二十歳だろ。無理に大人びようとすんなって。もっと甘えた方が男は喜ぶよ」
「とか言いながら寛太くんはそういう女の子嫌いそうじゃん」
「ふーーん。俺ってそんな風に思われてるんだ」
頬杖をついてじっと見つめてくる寛太くんに、なんだか気まずくなって目の前の烏龍茶をごくりと飲み干す。
「なぁ雪。俺に甘えれば?俺、結構雪のこと理解できる自信あるんだけど。どうっすか?」
予想もしてなかった彼に告白をされた。
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美紀(プロフ) - ランぺ大好きです最高ですコロナウイルスに気をつけてくださいね (2021年11月29日 17時) (レス) id: e19dcb272d (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - Megさん» コメントありがとうございます。表現を褒められるのとても嬉しいです!引き続き切なさ全開になりますが、これからも読んで下さると嬉しいです。更新頑張りますね。 (2021年3月11日 8時) (レス) id: 266b0fc261 (このIDを非表示/違反報告)
Meg(プロフ) - いつも更新されるたびに読ませていただいてます!切ない感じがとても素敵です!Lalaさんの表現する言葉って優しい感じがして好きです!これからも更新頑張ってくださいね! (2021年3月9日 19時) (レス) id: 9ec0205a78 (このIDを非表示/違反報告)
Lala(プロフ) - タムさん» コメントありがとうございます!直接的には繋がってはないのですがお酒を飲むとガードが緩くなる紅一点ちゃんというのを徐々に匂わせています。条件が出るようになった事件もちゃんと書くつもりですのでお待ちください。毎日チェックしていただき感謝です。 (2021年3月8日 15時) (レス) id: 266b0fc261 (このIDを非表示/違反報告)
タム(プロフ) - もしかしてお酒の条件って飲みかけのビールのお話と繋がってたりしますか!?毎日このお話が更新されてるかチェックするのが楽しみなぐらい面白いです!いつも更新していただきありがとうございます! (2021年3月7日 10時) (レス) id: 2c73cc4c7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Lala | 作成日時:2021年1月2日 10時