Seasons ー第1章ー

過去◆2017 二十歳の誕生日1 ページ21

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【side樹】



雪のインスタに先輩の曲の歌詞をコメントしているメンバーを見て、ふとあの時の記憶が蘇った。



「そっか、あれって雪の二十歳のサプライズだったっけ、」




―――――2017年7月6日



振り付け考えたいからリハーサル室に雪といっしょに来て。


昨日の帰り際に山彰さんに言われたのは、それだけ。



「3人でコレオ考えるってどんな曲なんだろうね。楽しみだなぁ」



笑顔で俺に話しかけてくる雪さんに愛想笑いで返すと「相変わらずいっちゃんはクールだね」と笑われた。


デビューしてから約半年。明日で二十歳の誕生日を迎える雪さんは、ここ最近グッと大人っぽくなった気がする。同い年なんだけどいまだに敬語使っちゃうし、さん付けで呼んでしまう。


未だに緊張すんだよな。いつも完璧で弱音なんて吐かないから、尚更。



ノックしてから入るとそこに居たのはリーダー二人と瑠唯さん、健太さん。そして奥に山彰さん。


あれ？こんな大人数で振り付け考えんの？てっきり3人だと思ってた。

雪さんを見ると口をあんぐりと開けたまま。この様子だと彼女も知らなかったらしい。



「雪はその椅子座って。あと、いっちゃんは雪を撮ってほしい。横顔でいいからずっと撮り続けてほしい」



的確に指示を出す山彰さんに言われるがままの俺と雪さん。


手渡されたビデオカメラでとりあえず雪さんを映すと、山彰さんが曲を流した。



〜♪〜♪〜



流れてきたのは先輩の曲。


意味がわからない俺を他所に踊り出したリーダー二人と山彰さん。瑠唯さんと健太さんはマイクを握っている。



「っ、」



歌い始めた二人に思わず息を呑むと、座っていた雪さんの大きな瞳からが大粒の涙が零れ落ちた。





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