episode 188 命綱 ページ40
麦藁の一味にAが同行してから、数日経った暑い暑い日。目的の島に到着し、生活品買い出し班と自由班に分かれて街を散策することになった。
「A、食い物の店まわろうぜ！」
『...行こうか。』
船番のゾロを除いた皆が船から降りると、真っ先にルフィが駆け寄ってくる。
勿論誘われる事は何ら不思議では無い、しかしAはここ最近彼に微かな違和感を感じていた。
「ん。」
『ん？』
「ほら、手。」
ルフィから差し出された手に首を傾げると、彼は笑いながらAの手を取り街の中へ嬉々として走る。
_____いや。今思えば、彼は彼女が気付くずっと前から、何かを直感的に感じ取っていたのかもしれない。
「はァー、食った！」
『私の何倍食べているんだか...。』
恐ろしい程のルフィの食欲に、今更ながら驚かされる。思う存分街を歩き回った彼らは、夜に光る蛍光砂で人気の景観だという海岸に来ていた。
月光で白く照らされる砂の中に、青や黄色、緑と砂粒が様々な色合いに反射し、夜の暗い海も引き立ち幻想的な世界が広がっている。
『こんな砂浜初めて見た、いつか世界の絶景巡りとかやってみたいなあ。』
「絶景か...俺は海が好きだから、色んな所の海見てェな。」
『そっか。...実は私ね、海苦手なんだ。』
「え、そうなのか？」
広く無限大の海が好きなルフィにとって、Aの言葉は不思議だったに違いない。これに彼女は少し恥ずかしそうな表情で、落ち着いた声で話し始めた。
『海水がどうのこうのでは無いんだけど、何ていうのかな。底が見えないのが怖いのかな。場所によっては壁も地面も無いし、広いのも怖い。...多分私は"無限"って言葉の通り、限りが無いって事が落ち着かなくて嫌なんだと思う。面白味の無い人間だね。』
「...、」
Aが話している内容を隣でじっと聞くルフィ。彼の体が少し強張り、おぼつかない様子で息を短く吸った事に、彼女は気付かない。
Aは立ち上がり、海の方へ砂浜の上を歩く。
『更に夜の海は輪をかけて怖いね。海の中どころか地平線すらぼやけて分からないってのがまた。』
怖がりでやんの、と呟いてAの足が波にさらされようとした瞬間。
彼女の腕を、ルフィが強く引いた。
「...！」
『どうしたの。』
これには流石に驚いて尋ねるが、尋ねられた本人も自分の行動に驚いているようだ。
「あ、ごめん...。っでも、でも....
そっちに、行くな。」
episode 189 その時守られるのは→←episode 187 limit
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 713人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ねんねこ - 主人公が最初に行ったところは、「妖精の尻尾」…？ (1月4日 23時) (
レス) @page2 id: 15c763c3c7 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう - 休暇を求める者さん» はい！まさにその通りですね！では、休暇を求める者様は私から見て、先輩ですね！なんて憧れる先輩何でしょうか………！！ (2016年12月26日 22時) (レス) id: a4dea3cde0 (このIDを非表示/違反報告)
しずく(プロフ) - 休暇を求める者さん» もー、憧れマス！読みやすい文だし、飽きないし、！絵なんかペン入れ丁寧すぎますよ〜… (2016年12月26日 21時) (レス) id: 7e8a9f0932 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - しずくさん» おお、こちらでもΣ(ﾟωﾟ)ありがとうございます(*^^*) (2016年12月26日 21時) (レス) id: dfb8f9f852 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - ゆうさん» ぬおお、ありがとうございます(´；ω；`)お、怒られとるんかい！(◎-◎;)それは中々大変ですね、ゆうさんのお役に立てていればとっても嬉しいです。受験生ということは中3かな？懐かしいですね〜、私は二年前だあ( ﾟ∀ﾟ) (2016年12月26日 21時) (レス) id: dfb8f9f852 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：休暇を求める者
| 作成日時：2016年10月29日 17時
