episode 58 屁理屈と揚げ足取りで捩じ伏せるべし ページ10
『成る程。つまり貴方は大半の市民を海賊と同罪、そう仰るのですね。』
朗らかに笑いかけるが、その表情とは裏腹に1トーン低い声が会議室に冷やかな圧を掛ける。
「...あァ？」
『海賊がもたらす被害が深刻な社会問題となっているのは、海軍の皆様なら良くご存じの筈。しかし彼らがもたらす産業経済への影響が莫大であることも事実。大勢の海賊が商品を買う事で島の経済が成り立っているケースも少なくない。誤解を恐れず言えば、海賊はある種、世界経済の中核を担っていると言えるでしょう。』
べらぺらとAの口から止めどなく出てくる理論に、皆が口を開けて呆然とする。机が囲む中心で、彼女は楽しそうに口の端を上げて続ける。
『この世界に詳しいわけではありませんが、商人の割合は全人口の約3割は確実かと思っています。そこに加えて海賊達。そうです、
世界の均衡を壊すのは、さぞ骨が折れることかと。』
お察しします、と哀れみの目で芝居がかったように肩を竦める。
これでもかと挑発に挑発を重ねた為、マグマの弾の一つや二つは飛んでくるだろうかと警戒したものの、一向に降ってくる気配は無い。
不思議に思いサカズキを見ると、彼は怒り狂う所か微かな笑いさえ浮かべている。
「......言うわい。」
その好戦的な目に、Aは何処か共感を覚えた。
てっきり彼は自分の正義のままに突っ走り、その為なら理屈など投げ捨てるような人物だと思っていた。
しかし、どうやら面白そうな側面が有るらしい。
(...先入観がまだ邪魔するけど、案外話せば味のある人なのかも。)
『...失礼、脱線しました。では元帥、いやもうセンゴクさんでいいや。私の監視、いかがなさいますか？』
「"良いや"って何だ...。」
ごめんなさい、と笑うAをジト目で見ると、今度は目線をサカズキに向ける。今さっきの論破戦争で考えが変わったのか、静かに目を閉じている様子は異論なしという返事らしい。
「...良いだろう。監視という名目につき、お前の行動は制限されるがそこは承知の上だな？」
『ばっちこいです。』
「.....................。霧雨の魔導士は噂通り、恐ろしい奴だな。ある意味。」
今日何度目かのため息をつくセンゴクだが、彼の呆れはいつしか笑いに変わっていた。
episode 59 元帥の擬音は"バリバリ"→←episode 57 論破戦争
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 994人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
やべー奴 - コンピラ島のモデルって金比羅山ですか？！いやぁ、知ってる所が出ると嬉しいなあ、これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 15時) (
レス) id: fc154cb5dc (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - ルイさん» うおおおおおおん｡ﾟ(ﾟ＾∀＾ﾟ)ﾟ｡なんと嬉しゅうご感想でございましょう！！ありがとうございます、作者の好みやら性格やらが全開のお話ですが、楽しんで頂けたようで一安心です。お見事、おっしゃる通りハリー・ポッターからです(☆∀☆) (2016年11月22日 16時) (レス) id: d81d244b96 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - にしても面白いですよ、この話。心にぐっと来る言葉が沢山です。これはワンピースの名言追加だな。正直な自分の顔で前見据えなさい。なんか特に！！ (2016年11月22日 9時) (レス) id: a1c8d4e665 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - スパンダム面白い！！ところで作者さん、魔導士さんの魔法の呪文、ハリーポッターからとってませんか？ (2016年11月22日 9時) (レス) id: a1c8d4e665 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - ココアさん» アットホームな白ひげ海賊団。ここらへんは、書いていて作者もほっこりとしていました(〃´ω`〃)そして今見ると懐かしいィィィィィ！！(笑) (2016年11月8日 21時) (レス) id: d81d244b96 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：休暇を求める者
| 作成日時：2016年7月16日 11時
