episode 51 剣士の心得 ページ3
確かに近戦の方が、力量が直に身体に伝わるためはかりやすい。
しかしそんな事は鷹の目も重々承知。彼は敵をトータルで観察、そして用心深く警戒していた。
それを分かった上でAは挑発したのだ。
"いいからさっさと来い"、と。
「ほう...その度量が勢いだけでないことを期待するぞ。」
ガキィンッと鋭い金属音が腕に響く。
『お、重い！さすが剣豪。』
「息も大して乱していない貴様が何を言う。」
キィンッー ガンッー
何度も剣を交えるが、互いに攻撃は当てず当たらず。
「...ふ、こんなに心地よい勝負は久しい。」
ミホークの表情は、自分でも驚く程生き生きとしていた。
嗚呼、愉しくて仕方無い。ここまで気分が高揚するのはいつぶりだろうか。
しかし哀しいかな、愉しい時間は永遠に続かないものだ。
ｺﾞｫｫｫｫｫﾝ......ー
40分を知らせる街の鐘が響いた。
ミホークの動きがピタッと止まり、Aも続く。
『…引き分け？』
「時間とは残酷なものだ。」
刀を背中に仕舞い、だが、と付け加える。
「お主、本気を出しておらんな。俺に勝つ決意が微塵も感じられん。」
少し不機嫌なミホーク。
正式な試合として相手が真面目に剣を交えているのに、その礼儀に応えないのは如何なものか。
そんな彼の不満を察したAは、頭を下げる。
予想外だったのか、彼は驚いた。
『すみません。実は、この刀を扱うにも私は魔法に頼ってるんです。でも下手に使い過ぎると身を滅ぼしかねない体質で、その加減がわからないほど未熟なんですよ。』
異世界に自分の身を存在させる事が出来るのは、自分の持つ魔力が身体の構成を保持している為。
その分の魔力まで下手に使ってしまうと、当然自分の身体は繋ぎを無くし崩壊する。
今の自分には限度が全く分からず、防御に徹する他無いのだ。
「…なるほど、確かに未熟といえる。しかし当然ともいえる。生きている時間の長さも経験の多さも、俺とは違う。 ...A、」
一つ息を吸うと、不意にミホークの表情が緩んだのが分かった。
「有意義な手合わせだった。久しく強き者と出逢えた。お主の本気と交える事が出来なかったのは残念だが、俺の腕がお主の力を引き出すに値しなかった…とも考えられる。いずれまた一戦願いたい。」
ミホークはAに歩み寄り、スッと右手を出す。
『！......ありがとうございます。此方こそ、また宜しくお願い致します。』
ミホークの手を、しっかり握った。
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やべー奴 - コンピラ島のモデルって金比羅山ですか？！いやぁ、知ってる所が出ると嬉しいなあ、これからも頑張ってください！ (2018年3月13日 15時) (
レス) id: fc154cb5dc (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - ルイさん» うおおおおおおん｡ﾟ(ﾟ＾∀＾ﾟ)ﾟ｡なんと嬉しゅうご感想でございましょう！！ありがとうございます、作者の好みやら性格やらが全開のお話ですが、楽しんで頂けたようで一安心です。お見事、おっしゃる通りハリー・ポッターからです(☆∀☆) (2016年11月22日 16時) (レス) id: d81d244b96 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - にしても面白いですよ、この話。心にぐっと来る言葉が沢山です。これはワンピースの名言追加だな。正直な自分の顔で前見据えなさい。なんか特に！！ (2016年11月22日 9時) (レス) id: a1c8d4e665 (このIDを非表示/違反報告)
ルイ - スパンダム面白い！！ところで作者さん、魔導士さんの魔法の呪文、ハリーポッターからとってませんか？ (2016年11月22日 9時) (レス) id: a1c8d4e665 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - ココアさん» アットホームな白ひげ海賊団。ここらへんは、書いていて作者もほっこりとしていました(〃´ω`〃)そして今見ると懐かしいィィィィィ！！(笑) (2016年11月8日 21時) (レス) id: d81d244b96 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：休暇を求める者
| 作成日時：2016年7月16日 11時
