episode163 迷子の迷子の剣士くん ページ16
中心街から少し外れた路地。
大剣を背負う男は、静かに歩いていた。
外れとはいえ、街の賑やかな生活音は至る所で聞こえる。中には彼の背負う大剣を見てヒソヒソと話す住人の声も。
しかし彼の耳には、革靴のヒールが石畳をコツン、コツンと叩く音しか入っていない。
コツ、とヒールを地面に置いたところで、彼は突然立ち止まった。
数歩後ろに戻り、また石畳をコンコンとヒールで叩く。
「…やはりか」
1人でそう呟くと、彼は顔を上げ、前方にある城を見つめた。
「む、」
何かの気配を感じ、彼は細い路地の方を振り向いた。"何か"といっても、実はすでに見当がついている。しかし本来ここには居ないはずなのだが＿＿＿＿＿＿
「……あ？やっぱ鷹の目じゃねェか。1人で動くってお前、こんな所歩いてたのかよ。」
方向音痴の弟子なら、やりかねない。
「ロロノア……この短時間で他の者とはぐれたのか。」
「あん？ちげェよ、あいつらが迷子になってんだ。」
「フン、馬鹿を言え」
「ばっ……」
師匠にしては少し珍しいど直球な罵りで、ゾロはぐうの音も出なくなった。
「お前はそこで他の者と連絡を取り、迎えが来るまで一歩も動くな。仕事が増える。」
「ぐぬ。…ッチ、分かったよ。動かなきゃいいんだろ。」
頭の後ろで手を組み、壁に背を預けたゾロ。
それを見たミホークは歩き出そうとしたが、ゾロに質問を投げられる。
「お前、さっきからここら辺行ったり来たりしてたよな。何やってんだ？」
「音だ」
「音？」
「この島には確かに地下通路があるようだ。空洞のある場所と無い場所では音の響きが違う。そしてこの地下通路は確実に王宮の中枢へと繋がっている。」
2箇所の地面をコンコンと叩いてみせるミホーク。しかしゾロには違いがよくわからない。
「…」
ためしにゾロも踵で石畳を叩いてみる。そしてミホークの立つ場所と比較してみようと足を踏み出すと、
「おい、動くなと言ったはずだ」
「そこまで音痴じゃねェわッ！！！！！」
「右に行けと言われたそばから左へ進み出すお前の言葉に説得力などありはせん。」
「ぐぬゥ…ッ！！」
またしてもぐうの音も出ないゾロ。諦めてため息をつくと、ゾロは腕を組んで表情を切り替えた。
「もう分かってたことではあるが、城に繋がってるってこたァ、教団との癒着は確実か。」
「ああ。だが、分かったのはそれだけではない。この島の地下はあまりに複雑で深い。
まるで、巨大な何かが眠るかのように。」
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休暇を求める者(プロフ) - いぶきさん» 3ヶ月越しの返信で恐れ入ります…！ご感想ありがとうございます。エース推しとのことで、もう暫しドッタンバッタン最終章が続きますが、ぜひ以降の流れも楽しみにしていただけましたら嬉しいです。 (7月2日 13時) (
レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
いぶき(プロフ) - 最初からここまで読んできましたがとても素敵な作品でエース、サッチが生きてるお話が見れるのがとても嬉しいです！エース推しなので時々見れるきゅんシーン射抜かれてます！エースもイゾウもルフィも好きなのでたくさん見れて幸せです！更新楽しみにしてます！ (2023年3月29日 7時) (レス) @page18 id: d33577c241 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - ンョョさん» 大変な高評価を頂いてしまった上に…しかも長くお付き合い頂いてるとのことでなんと御礼申し上げれば…？？？大変光栄です、ありがとうございます。正直読み返すとまだまだ怪しい所もありますゆえ、今後も精進して参ります…( ˘ω˘ ) (2023年3月6日 1時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - 莉久さん» 遅ればせながら返信いたします。う、嬉しか〜〜〜〜〜〜！特に世界観の維持はとても気にしていた所なので、とてもありがたいです。今作の中心人物はほぼ全員登場してしまったのですが、終盤に色々企ててますのでぜひお楽しみに… (2023年3月6日 1時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
ンョョ(プロフ) - はじめまして、コメント失礼します。何年も前から読んでいる者です！ストーリーの根幹がすごくしっかりしていて、伏線の張り方や登場人物のなめらかな視点移動が読んでいて惚れ惚れするほど圧巻です…！いちファンの身ですが、これからも応援しております。 (2023年3月2日 0時) (レス) id: 795bb29f75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：休暇を求める者
| 作成日時：2022年12月30日 3時
