episode39 歴史の裏側 ページ42
Aの頭に、電撃が走った。
円盤に触れた時に、古代の人間達を垣間見た。恐らくその血を濃く引いてきたのであろう人々の顔が、スライドショーのように頭に入って来たのだ。その最後の1人、どこか見覚えがあるような気がした。
きっとそうだ。あの面影は。
『フレイヤのお母さんだったのか…。』
「え?」
『当たりだよ、フレイヤは古代人の直系だ!フレイヤが"自分のお母さんにはメモリ的な能力がある"って言ってたやつ、あれは古代人共通らしい。』
「…それも円盤で見た情報か?」
『あともう一つ、秘宝の所まで行く方法。人里から離れた山奥の洞窟とはいえ、カエサルが見つけてからその後誰一人見つけられなかったとは考えにくいだろ?でもそんなスキャンダル聞いたことも無い。見つけるには、というか洞窟に入れるのは特定の人間だけだったんだよ。』
Aは息継ぎも忘れ一気に言い切った。これに彼は何か思う事があったのだろうか、特に追加の質問もせず黙り込んでしまった。恐らく、運転しながら頭をフル回転させているのだろう。
やがて小さく息を吸うと、少し止めてからゆっくりと結論を紡ぎ出した。
「…洞窟に入る為には、古代人の血も鍵の一つ。洞窟を見つけられたカエサルには、
___古代人の血が流れていた…?」
ざわざわと、風に吹かれた木々が騒ぎ出す。
『…そうするとますます、私達に謎解きさせた理由が分からない。このタイミングでフレイヤを攫ったって事は、アロガンズは円盤の情報すらもかじってたって事だもんなぁ…。』
「…。」
ルパンはまた黙り込んでしまった。
この世界に来る前から、彼がどんな人間であるかは分かっていたつもりだった。しかしいざ行動を共にしてみると、予想以上に冷静で、慎重な人間だった。いや、泥棒だからこそなのかもしれないが。
彼の頭の中を覗いたら、あまりの回転の速さに目を回したりするのだろうか。なんて、緊急事態にも関わらずくだらない事を考えてしまった。
「次元!」
町外れにある、見慣れぬガレージへ車が到着すると、ルパンはすぐさま次元を見つけた。
「……本当に面目ねぇ、少し外した隙にこのザマだ。五エ門はこれから合流する。」
「強行突破されたか?」
「いや。」
「いや?」
次元は言いにくそうに目をうろつかせていたが、諦めたように話した。
「…扉が、勝手に開いたとしか思えねぇ。」
「…ど、ドユコト?」
ルパンのカタコト初めて聞いた。
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抹茶って美味しいよね(プロフ) - すみません。間違えました。実は、休暇を求める者さんの、作品2、3回くらい読み直してるんです。それ程面白くて…おこがましいと思うんですけど、フェアリーテイルのお話も作って欲しいです!! (2020年4月29日 22時) (レス) id: 8bfe17f4aa (このIDを非表示/違反報告)
抹茶って美味しいよね(プロフ) - 初めまして。今更ながら感想を書こうかと... (2020年4月29日 22時) (レス) id: 8bfe17f4aa (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 休暇を求める者さん» 大笑い♪♪冒頭しか、読んでいませんが、ルパン三世の登場人物そものですね。恐れいりました♪♪ (2019年12月17日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
なーなー@今日俺#最高かよ。(プロフ) - ふわぁあ!何日か来れていなかった間に絵が……追加されている…!!カッコいい!!大好きです!! (2019年4月25日 23時) (レス) id: 4de978dd23 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - 灯籠さん» ほぁぁ良くぞ細かいところにお気づきで…:(;゙゚'ω゚'):時間のある時に一通り確認しようと思います、ありがとうございます。 (2019年4月22日 17時) (レス) id: ab4c20710e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:休暇を求める者 | 作成日時:2018年12月28日 17時