episode2 贅沢な始まり ページ5
川のせせらぎが耳を心地良くくすぐり、緑の爽やかな香りが頭の中をすっきりさせる。
『……贅沢な午後だなあ。』
誰に聞かせるわけでも無く、ボソッと呟く。パラソルの下、手元で太陽光に照らされ輝く真っ白なマグカップに、真っ白な雪山が浮かんでいる。漂うエスプレッソの高貴な香りがなんとも心地いい。
そうそう、補足だがカプチーノはイタリアで好まれているコーヒーの飲み方の1つである。きめ細やかなフォームミルクに、コーヒー豆の旨味が凝縮されたエスプレッソを流し込んだもので、リラックス効果も高い。
しかし実は、贅沢な時間を何も考えず満喫出来るような状況では、ない。
彼女は今、異世界に訪れている。即ち、異世界の点検作業の為に呼ばれたのだ。
さらに言うと、カプチーノを飲んでいながら彼女が現在居るのはイタリアでは無い。
恐らく…
(………ドイツ、か?)
国名は知っていても、流石にその国内の都市についてはこれっぽっちも詳しくない彼女である。街中のどこかで見た国旗が多分ドイツだった、というだけだ。
どうやら今回訪れた異世界は、彼女が住む世界と似ていることから、本場ドイツが舞台の作品であるらしい。
漫画、アニメ、小説、ゲーム…ドイツを舞台にした作品は沢山あるだろう。果たしてその中のどれなのだろうか、とこの世界へ来る前の記憶を探った。
ふと、ラックに掛けてある新聞記事の一面が目に入った。
『_____________ル、ルパン三世がシャツカンマー博物館に予告状……。』
あっさり確定した。
「_________________…い。……おい、起きろ。」
「______んっ!?ああ…どうした次元。」
くあ、とあくびをしながら返事をする、赤いジャケットを着こなす人物。彼の間の抜けた反応に、次元と呼ばれる、帽子を深くかぶった髭の男は小さく溜め息をつく。
「寝るならせめて話を完結させてからにしてくれ。」
「悪い悪い、この日差しには抗えなかったぜ。…何だ、今の今まで起こさなかったのか?」
「あまりにも起きないんで10分待ってやったんだよ。」
「うわあやっさしー!お陰様で俺もうスッキリ。ああ、そうだそうだ。話の途中だったな。
……あら、なーんの話だったっけ?」
「…はあ。」
2回目の溜息が出た。
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抹茶って美味しいよね(プロフ) - すみません。間違えました。実は、休暇を求める者さんの、作品2、3回くらい読み直してるんです。それ程面白くて…おこがましいと思うんですけど、フェアリーテイルのお話も作って欲しいです!! (2020年4月29日 22時) (レス) id: 8bfe17f4aa (このIDを非表示/違反報告)
抹茶って美味しいよね(プロフ) - 初めまして。今更ながら感想を書こうかと... (2020年4月29日 22時) (レス) id: 8bfe17f4aa (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 休暇を求める者さん» 大笑い♪♪冒頭しか、読んでいませんが、ルパン三世の登場人物そものですね。恐れいりました♪♪ (2019年12月17日 20時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
なーなー@今日俺#最高かよ。(プロフ) - ふわぁあ!何日か来れていなかった間に絵が……追加されている…!!カッコいい!!大好きです!! (2019年4月25日 23時) (レス) id: 4de978dd23 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - 灯籠さん» ほぁぁ良くぞ細かいところにお気づきで…:(;゙゚'ω゚'):時間のある時に一通り確認しようと思います、ありがとうございます。 (2019年4月22日 17時) (レス) id: ab4c20710e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:休暇を求める者 | 作成日時:2018年12月28日 17時