異世界放浪者は浪漫を求めていない。[ルパン三世]

episode28 ついに溢れる ページ31

次の日。

アロガンズからの電話を受けてから、既に3日が過ぎた。
これはそろそろ、いや流石にまずい。秘宝の謎を解くどころか、謎がどういうものかすら分かっていない。
まあ、ルパン達なら何とかしてくれるかもしれない…と人任せな考えが浮かんだが、すぐに振り払った。
甘えているようでは駄目だ。成り行きとはいえ、この役割を引き受けたのは自分自身。今日中に秘宝の目の前まで辿り着かなければ。

ルパン達が集めた資料を見て良いと許可を貰ったので、まずはアジトへ向かって、自分の持っている情報も加えて整理していた。
すると突然、乱暴にアジトの玄関扉が開かれた。大きな音に驚いてAが振り返ると、様々な感情に顔を歪めたフレイヤがいた。取り敢えず、間違っても機嫌は良くなさそうだ。


『珍しいな、フレイヤが外に出て』

「_________ホンット、最悪…！」


今までで一番悲痛に聴こえた、彼女の大声。これにはAも驚きで肩が跳ね、一体何があったのかと怪訝な顔をした。


『なんだ、親に見つかったか？』

「だからそれは有り得ないって言ってんじゃん！ロクに顔見せに来ないんだからさ！


_________教師に見つかった。」


フレイヤの表情から良くない事であるのは分かるが、Aはどこか他人事にしか感じられず、あららと返す事しか出来なかった。

『で、何か問題なの？』

「問題しか無いじゃん！学校休んでるのに外に出てるのバレたし、あいつら絶対家の方にチクるよ、今度学校に行ったら絶対同級生の奴らに後ろ指さされる…。見つかったときも決まり文句の"みんなと仲良くしよう"だ！！何なんだよ、みんなして僕のこといじめて！！何で！？僕何も悪くないじゃん！！」



『………本当にそうか？』



どこか冷ややかに返された返答に、フレイヤは目を見開いた。初めて出来た友達のAなら、同感してくれると思ってた。分かってくれると信じてた。なのに、



「…なんでそんな事言うの？」

『そう思ったからだよ。同級生が話し掛けて来ないのは、本当にいじめか？悪いのは同級生だけか？』

「はぁ…！？何で僕じゃなくてあいつらの肩持つんだよ！！」


『…悪いけど、フレイヤ。』



お前みたいなやつ、無性に腹がたつんだよ。

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