異世界放浪者は浪漫を求めていない。[ルパン三世]

episode27 バケツに溜まった雨水は ページ30

「学校ってさ、本当にだるいよね。何で行かなきゃいけないんだろう。別に行きたいだなんて言った覚え無いのに。」

『この国ではどうなってるのか知らないけど、子供にとって学校に行く事は"権利"で、親にとって子供を学校に行かせる事は"義務"なんだよ。日本ではね。』

「それって矛盾してない？僕達が学校に行きたく無いって言っても、大人は子供を学校に行かせようとするって事でしょ。権利なんてどこにも無いよね。」

『う、うーむ…。確かに文面だけならそう見えるけど、何かしらの理由で本当に学校が辛いと思ったら、行かない選択肢を取る権利は子供にあると思うよ。学校に行かせるのは親の義務だけど、自分の子供に寄り添ってやるのが、もっと重要な義務だと私は思うかな。自分が親なら、そうしてあげたいしね。』

「…なんでそう思うの？」

『私がそうして貰ったから。…いや、まだまだ世話になってるから、"そうして貰ってる"の方が正しいか。』

迷う事なくはっきりと答えたAを見て、フレイヤは表情を曇らせた。その目には、微かに寂しさと嫉妬の色が浮かんでいるように思えた。

「…いいよね、そういう家は。僕とは大違いだ。」

『ファイクさんだって、私と考え方は似ているように思えたけど。』

「違う。絶対に違う。」


父親の事については、頑なに認めないらしい。


「…僕が最近学校に行って無かったのって、クラスでハブられてたからなんだよね。」

『え、春だからまだクラス替えしたてだろ？』

「分かんないよ…。みんなもうグループとか作って遊んでるのに、僕だけ…。

本当、死にたくなる。」



『…それは……。』



「_________だからさ、ルパン一味に入ってそいつらを見返してやろうと思ったんだ。」

『…は？見返す？』

「同級生のみんなが、僕がまるで存在してないように振る舞うのに、教師は"みんなと仲良くしようね"って僕の方に言ってくる。誰も僕のことなんか分かってくれない。僕は何も悪くないのに！」

『…。』

「あんな奴らも学校も、嫌いだ…。」



Aは色々と聞きたいことがあったが、今の状況では地雷を踏みまくるだけだ。モヤモヤとしつつも、今日はもうアジトから引き上げる事にした。

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