異世界放浪者は浪漫を求めていない。[ルパン三世]

episode26 初めてのお喋り友達 ページ29

最初こそ嫌悪感丸出しの出会いだったが、会話を重ねるうちに、フレイヤという子は根は悪くないという事が分かった。警戒体制から入ってしまう為、相手に心を開くのに人より時間が掛かるらしい。

歳が彼女と一番近い為仲良くなりやすいかと思われたが、Aは身体年齢と精神年齢が一致していない。異世界で何日過ごそうと、元の世界はその間時間が止まっている。つまり、異世界でどれだけの経験をして精神が成長しようと、本当の身体は元の世界にある為、成長は時間と共に止まっているのだ。

そんなこんなで、フレイヤと打ち解けられるか不安だったが、気軽に話せる程度には彼女も心を開いてくれたようだ。

…まあ正直、幼いなと思う部分も多々あるのだが。

『はいよ。』

「さんきゅ。」

パソコンをいじるフレイヤの傍に、入れたてのココアが入ったマグカップを置く。

『そういえば、次元さんと石川さんを一昨日以来見てないけど。』

「あははっ、何その呼び方。違和感凄い。」

『悪かったな、大人を呼び捨て出来るほど礼儀を欠いた人間にはなりたくないんでね。』

「でも泥棒だよ？」

『犯罪者であろうと何だろうと、今は協力者だから。』

「ふーん。」

適当に相槌を打ったフレイヤは、ふと思いついたように話し始めた。

「僕、歳の近い人とこんなに話したの初めてかも。」

『なんだ、人と話すの苦手か？』

「苦手なのは話すことじゃなくて人の方。それも、同級生とか一番…苦手。」

『何で？』

「話合わない。…誰も、僕と話さないし。」

『話しかけても相手されないって事か？』

「…知らない。」

『…まあ、周りと話が合わないってのは分かるかな。言い方とか考え方が年寄りみたいって言われるから。』

「あー確かに。」

『だから歯に衣着せろと。』

「だって本当じゃん。」

『くっはー何でもハッキリ言いよって！嫌いじゃ無いけどさ！』

生意気な事に違いは無いが、苦手な友達付き合いの事まで話してくるようになったのはかなりの進歩だ。彼女とも協力して、今回の一連の問題を無事解決出来れば良いのだが。

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