異世界放浪者は浪漫を求めていない。[ルパン三世]

episode19 世界史の知識身につきそう ページ22

「いや〜…こりゃ情報を飲み込むのに一苦労だ。」

『お疲れの所悪いんだけど、今度は私から色々質問させて貰いたいんだ。

私が路地裏で聞いた、"引き渡す""捕まった""秘宝"の単語についてそれぞれ説明して欲しい。』


「やっぱり、聞いてた訳か。…どうしようかな〜？」
『冗談でも荒い手は使いたくないのでね。』


「…その笑ってない目は流石に冗談だよな？」


観念して、取り敢えず話すことに。


「まず、とある富豪に俺の知り合いが捕まった事が発端だ。何で捕まったって？彼女を人質にして、俺が持ってるドナウの女王と取引しようっていう向こうの魂胆さ。あんにゃろう、可愛い不二子に乱暴な真似しやがったらタダじゃおかねぇ…！お泊りデートお預けになった俺の身にもなれってんだ！」

「おい、脱線脱線。」

「おっと、悪ぃ悪い。」

ともかく、ルパン達の身に起こった出来事は大方把握出来た。あとは、

『秘宝って、何？』

「…そいつぁ、俺にも良く分かってねぇ。ただ、富豪…ディラン・アロガンズの言い分から察するに、その秘宝ってやつを手に入れる為の鍵がドナウの女王らしい。」

『へえ、ドナウの女王を上回るお宝…ねえ。そのアロガンズって人は、どこから秘宝の話を嗅ぎつけたのかな？』


「それも良く分かっちゃいねえが……


ただ、秘宝の伝説自体は、俺も知ってる。」




_________紀元前100年頃、古代ローマの時代。

ガイウス・ユリウス・カエサルがガリア戦争に勝利し、シュバルツヴァルトの森一帯を征服した時。

彼は、この世の誰もが見たことの無いであろう、莫大な財宝を発見した。

この財宝が誰かの手に渡ることを恐れたカエサルは、あった場所へそのまま隠し、自分以外の人間がそこへ立ち入る事を禁じた_________



「ああ、カエサルって誰だか分かるか？"ブルータス、お前もか"の台詞で有名な政治家だ。」

『また随分と昔の伝説だね…。それをアロガンズは必死こいて探してる訳？』

「そういうことになるな。ただ、ドナウの女王が鍵だと知っているって事は、少なからず秘宝が存在すると知ってて、それを手に入れる方法を既に見つけているって事だ。ドナウの女王も秘宝もくれてやるさ、だが不二子だけは許せねぇ。」


「…俺はそこも引っかかっているんだがな、ルパン？」

今まで静かだった次元が、唐突に口を開いた。



「ドナウの女王を引き渡して、あの女が大人しく解放されると思うか？」

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