異世界放浪者は浪漫を求めていない。[ルパン三世]

episode18 まだまだあった、異世界講座。 ページ21

「……。」

「……。」

『やめろ、2人して黙るんじゃない。自分が痛いのは自分が一番良く知ってる。』


額に手を当て、深い深いため息をつく。魔法や異世界の存在を受け入れようとしてくれたのは良いが、やはりルパンと次元にこの類の話は、まだ耐性が無いようだ。
それもそのはず、つい1、2年前まではAもそちら側に居たのだから。気持ちは良く分かる。


『…もう、唖然としたままで良いから聞いてくれ。

結界っていうのは、世界１つを覆ってる膜みたいなものの事をいうんだ。役割は、他の世界との衝突を防ぐ事。多分、衝突したら天変地異どころじゃないね。某ゾンビサバイバルゲーム状態になっても不思議じゃない。つまり、なんでも起こり得るって事さ。』

「他の世界から来たお前が、今この世界に居ることは衝突にならないのか？」

『ああ大丈夫、ならないよ。…例えるなら、パスポート所持入国と侵入の違いかな。』

「一応、ルール違反では無ぇってことか。」

コーヒーを飲みながら、付け加える次元。昼間の謎の襲撃を警戒して、酒は控えるらしい。


『で、その結界って、まず自然に全壊する事はほぼ無いんだよ。でも衰えはするから、そうしたら私に情報が行く。』

「情報って…何か伝達機関でもあるのか？」

『うーん…私が直接受け取る訳じゃ無いけど、結界が衰えたらそれも"問題"だから、半強制的にその結界がある世界に飛ばされる感じだな。今回がそうだと思ってる。まあ、昼間の襲撃者も予想外の"問題"なんだけど…。

あ。でも、機関みたいなものは、あるにはある。』

「国連みたいな？」

『そんな規模の大きいものじゃないよ、というか人間が主体で運営してる訳じゃ無いし…一応人間も居るけどね。』

「人間じゃないって…カミサマとでも？」

『…ま、まあ、そんな感じ？もっとざっくり言えば、自然だな。カミサマってのは元々ツリーに備わってる機能の事なんだよ。』

「……ツリー？」

次から次へと、不思議な話が出てくるものだから、ルパンは質問を止めることが出来ない。


『ああ、えーっと、世界全部の総称だよ。一口に世界って言っても、１つの世界を指すのか、それとも他の異世界全部もひっくるめて世界と呼んでいるのか、混乱するだろう？だから、世界の一つ一つを葉っぱに例えてtree(ツリー)って呼んでるんだよ。』


成る程、とルパンは相槌をうつ。話がひと段落し、背凭れに身体を預ける。この数十分で、どっと疲れが溜まったのを感じた。

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