異世界放浪者は浪漫を求めていない。[ルパン三世]

episode17 毎回恒例、異世界講座。 ページ20

「…さーて、そろそろお嬢さんについて色々聞かせてもらおうか。」

『…私が大体説明してから、質問受け付ける感じで良いかな？悪いけど、ここからはいつものペースで喋らせてもらうよ。』

「どうぞどうぞ〜！」

目つきが真剣なものに変わったAを見て、ルパンは面白そうに口の端を上げる。


『まず、お2人が気になってるであろう、さっきの出来事。何も無い所から出てきた氷塊。あれは、書いて文字の如く"魔法"。…まあ冷やかな視線は予想通りだけども。後で何か見せてあげるよ。』


その後も、彼女が異世界から来た事。異世界で何か問題が起きていないか確認する為に、様々な世界を渡り歩いている事。
世間一般常識的に、頭がおかしいと思われて当然の事実を、出来る限り全て話した。
魔法を堂々と見られてしまっては、鋭い大人2人を相手に上手い嘘も見当たらない。





「まあ、不思議な事もあるってことで。最初から特殊なお嬢さんだとは思っていたからさ。」


『へえ、意外とすんなりだね。』



「……お宝ってのは、その名の通り何かしらの価値がある。その"価値"を生み出したのは、他ならねぇ歴史だ。
けどな、人間が知ってる歴史ってのは、あくまでも人間が知り得る範囲の歴史だ。俺たちの知らないところで、だが確かに積み重ねられた未知の歴史はある。
それを探求していくのも、泥棒の醍醐味でもあるんだぜ。」



格好良く丸めたルパンはAにウィンクを飛ばすが、彼女は突っ込まずにはいられなかった。




『そもそも醍醐味を堂々と人に説ける職業じゃないだろ。』



「そ、そう言っちゃそうなんだけどよ。結構俺は誇りなんですけど…。」




再び肩を落とすルパン。隣の次元は口元を手で隠し、笑いを堪えていた。




「まあ、実際に目の当たりにしちゃあ、お前さんをホラ吹きだと断定することは出来ねぇな。…そもそも、こんなメルヘンチックな嘘をつく奴はそうそういねぇだろうけど。」

「そういうこった。…で、この世界に来て調べてるって事は、何かこの世界で問題が発生したって事だよな？ドナウの女王と一体何の関連がある？…いや、興味深いってのは、秘宝の方か？」

『は、話が早い…。』


ルパンの理解力と推察力に完敗のA。彼の頭の中では、Aが追う問題といくつかのキーワードが既に結び付けられているらしい。


『…正直な所、まだよく分からないんだ。けど、何となく予想はついてる。

多分、この世界の結界が衰えているんじゃないかな。』

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