異世界放浪者は浪漫を求めていない。[ルパン三世]

episode15 複雑なドライブ ページ18

「次元の言う通りだな。まあ、今俺達と一緒に居ることはただの事故だ。後で警察のこわ〜いお兄さん達に聞かれてもそのまんま、泥棒に攫われた、とでも言っておけば大丈夫さ。」

ハンドルを操作しながら、ハハ、と軽く笑い飛ばすルパン。結果的に助けてもらってもいるので、彼の隣に座るAは曖昧な返事でしか返せなかった。

「…追っ手は特に来てなさそうだぜ。」

念の為に、と準備していたスナイパーライフルを膝に下ろし、一先ず安堵の息を吐く次元。後部座席から追跡をずっと警戒していたようだ。

「ほんじゃま、ドライブも済んだところで我が家に帰りましょ。」

『それこそ、私が同行する必要無いんじゃないの…。』

「だーから、あの場に居ても襲撃者と警察のダブルパンチ食らうだけだっただろ？まだあの街を両者とも徘徊しているかもしれねぇし、襲撃者にはお前さんの顔がバレてる可能性は高いだろうな。今車から降りてどこに行くってんだ？無闇に外ほっつき歩くよりも、我が家にお邪魔する方がよっぽど安全だってのは保証するぜ。」


それに、と付け加えるルパン。



「俺達も、さっき目の前で起こった事について、たぁーくさん聞きたい事があるんだぜ。どうもごく普通の学生では無いようだからな、"お嬢さん"？」

『…………最悪だよ……白昼堂々見せる羽目になるなんて………。』


ガクッという効果音がつきそうな項垂れ方をするAに、まあまあ、とケラケラ笑いながらルパンは彼女の肩をポンポンと叩く。


「安心しろって、別に取って食ったりしないから。…というか、出来なさそうだな。返り討ちにあいそうだ、あんなでっけぇ氷食らったら流石の俺もひとたまりもない。」

『…………ハハ。』


茶化してきたと思ったら、ルパンは突然真顔になり深刻そうな声で呟いた。後でみっちり聞くからだろうが、氷塊の出現という不可思議な現象には最早突っ込もうとしていない。



怖いな、冷静すぎるってのも……。







それにしても、あの襲撃。

明らかに普通の人間が成せる技では無かった。自分以外にも、異世界から何者かが来ているという事なのだろうか。今までは、ただ異世界の点検のみだったというのに。

咄嗟の事にも関わらず応戦出来たから良かったが、謎の来訪者の可能性に、今ようやく戦慄を覚えた。

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