異世界放浪者は浪漫を求めていない。[ルパン三世]

episode11 放浪者もネット時代 ページ14

「……あんだって？」

予想だにしていなかった台詞に、今度は違う意味で開いた口が塞がらないルパン。

「僕を味方にしておいて損はさせないよ、お互いにデメリットなんて無いでしょ？」

「いいや、あるね。泥棒稼業に足を突っ込むってことが、どういうことか分かっちゃいねえだろう。」

「警察なんか怖く無いよ。」

「……。ご両親が悲しむぜ？」

「お母さんはもう昔に亡くなった。父さんは…しないよ、悲しんだりなんか。きっと僕の事なんでどうでもいいんだ。」

「友達にも、そう簡単にゃ会えないぜ。」


ピクッと、少女が反応した。ルパンはこれを突破口だと思ったが、どうやら_________








「………"友達"なんて、死んでも会いたくない。」









_________地雷だったようだ。




















翌日。正午を回った快晴の空の下、今日はドーナツを摘みながらモカコーヒーを頂く。勿論、調べ物も順調に進めている。



『…ふーん、やっぱり盗みに来たんだ。』

カフェにあるラックから今朝の朝刊を読むと、まず目に飛び込んで来た記事はそれだ。
アニメで拝見してはいたが、彼、ルパン三世の技術と知識は(使用目的は別として)尊敬に値するレベルであると思う。異世界の存在を知り、実際に渡り歩きその大変さを痛感し始めた頃から常々そう思っている。
ピッキングとか教えて貰えないかな、なんて冗談を呟きながら、Aが開いたのはパソコン。

風の噂ではあるが、この土地、シュヴァルツヴァルトの森にはどこかに秘宝が隠されているという言い伝えがあるらしい。

異世界放浪者の仕事と何の関係があるんだ、と言われそうだが、問題発見の糸口は意外とこういう現実味の無い噂話や言い伝えだったりするのだ。信憑性の無い夢のような伝説も、時代と共に人の記憶とその意味が風化してしまっただけで、何かしらの真実は存在している。

『…んー。一口に森といっても、なあ…。』

中々ネットで有力な情報が集まらないので、余談だがシュバルツヴァルトの森について説明しておこう。

グリム童話、と聞いてどんな物語を思い浮かべるだろうか。赤ずきん、シンデレラ、ヘンゼルとグレーテル、ラプンツェル…など、誰もが一度は題名を聞いたことがあるような、有名な物語達。

これらの舞台こそ、Aが訪れている山岳地帯、シュバルツヴァルトの森である。

この土地にはいくつかの街があり、歴史を感じるような趣ある街並みと美しい自然を目にすることが出来るのだ。

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