異世界放浪者の推理力は皆無。[名探偵コナン]

episode 4　紅茶香る自己紹介 ページ6

「私、鈴木園子っていうの。園子って呼んで〜！！さっきは本当にありがとう！」

「園子の友人の、毛利蘭です。うちの父が探偵をやってるんだけど、ここの2階がその事務所なの。」


店員の梓さんが飲み物を運んできてくれた頃、ポアロで自己紹介タイムが始まった。


「僕江戸川コナン。こっちの三人は、右から元太、光彦、歩美だよ。」


「「「宜しくお願いしまーーす‼」」」

「ポアロの榎本梓です！」

「同じく、ウェイターの安室透です。蘭さんのお父さんの助手もやってます。」


ニコッと爽やかな笑顔を見せる安室。

ただ、なんというか。


(貼り付けたような、ってこういう事だろうか。)


この世界に来る前から彼の人気ぶりは知っていた。
だけに、実際に対面した時の彼の表情には少し違和感を覚えた。
さすがトリプルフェイスは伊達じゃない、顔も本音も使い分けているようだ。


『私は、兎乃峯Aです。最近ここに越してきたんだ。』

流石に実年齢は疑わしくなるので伏せるが、顔は別に良いかと帽子とマスクを取る。


「「「.....私？」」」


「え、あ、お姉さんだったんですか！？」

「ほんとだー！」

「マジかよ、ずっと男だと思ってたぜ！」


少年探偵団がわいわい騒ぐ中、顔を青ざめる安室。


「女性だったとは...！これは失礼しました。」

『や、そんな。別にどっちでも良いかと思って。』

「ど、どっちでもって...。」
　
『はは、男か女かなんて狭いカテゴリですよ。世の中もっといろんな性別がありますからね。』


「！…ふふ、そうですね。」


感心したように、柔らかい微笑を見せる安室。
こっちの方が、本来の彼に近いのかもしれない。



「なんか、あれだわ。誰かと似た匂いがすると思ったらまさにだわ…。」

「世良ちゃん？」

「そう！！」

『世良ちゃん？』

園子と蘭が盛り上がっているので、知らない程を装って聞いておく。

「うちのクラスに編入してきた帰国子女の友達なの。その子の事も最初男の子だと間違えたねーってのを思い出して。」

『き、帰国子女…かっこいい…。』

「なんか、うちのクラスなんだかんだで凄いわね。空手関東大会優勝に、高校生探偵に、イギリスからの帰国子女に。」

「園子、自分を入れてない。」

「え？あー！そうよ、私鈴木財閥の園子を抜いてクラスは語れないわ！」


ちなみに現実世界ではGHQによって財閥解体というものが行われている。有名所の某銀行グループ達には財閥の名前が残っているのだとか。

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