異世界放浪者の推理力は皆無。[名探偵コナン]

episode 46　雨の音、湯の音。 ページ48

洞窟を出ると、いつの間にか空が橙に染まっていた。

「おーい、皆さん！」

道の向こうから手を振るのは、企画実行監督の秋原と毛利小五郎。
その後ろには、梓と春野も。

「お父さん！どこ行ってたの？」

「島の酒を買ってきた！こりゃあ帰宅後も楽しみだな。」

「2人とも見てください、アメヨビのお茶です！」

『へえ〜お茶！てか梓さん結構買ったねえ。』

「えへ…つい財布の紐が緩んでしまって」

「あはは、今度シフト終わりにみんなで飲みましょうか。僕淹れますよ。」

旅行の移動に疲れていた大人メンバーは、早速土産を見に行っていたらしい。

「皆さん、今夜の夕食は海鮮料理が振る舞われますのでお楽しみに！夜は旅館の広間から綺麗な氷槍湖が見れますよ。」

秋原さんのアナウンスに、待ちきれないといった様子の子供達と龍虎山を後にする。






「うっわ最高！蘭、A、歩美ちゃんも早くおいでよ！」

竹の壁に囲まれた、ひのき製の広い露天風呂を見るなり園子は大興奮。
春野、アリス、梓の大人組は意気投合したのか、一緒に夕食時に飲んでから入るとのこと。

「じゃあ、歩美達一番風呂だね！」

「そうだね！…ん？この壁の向こう男湯かな。」

蘭の言うとおり、向こうからも話す声が小さく聞こえる。

『だね。あーこれは最高の湯…。』

一息ついた瞬間、傍らに咲いているアメヨビが下を向いた。初めて見た歩美ははしゃいで、見て見て！と声をかけてくる。可愛い。

「あっ、下向いたね！雨が降るのかな？」

花をつんつんと触ってみる蘭と歩美。
すると、指先に何かがポツンと当たった。

「うわ、本当に降ってきた！凄…どういうメカニズムなのかしら本当。」

『雨の中の露天風呂って風情あるねぇ。』

自然の不思議に驚く園子の隣で、ヒノキ湯の段差に腕を預け、呑気に鉛空を見上げる。

するとそんなAを、園子がギラリと見てきた。

「あ、ねえねえねえ。船での事だけど。何あんた…昴さんとも良い感じなの？」

『んあ？』

「んあ？じゃないわよ、てか安室さんが張り合ってなかった！？ッカー何よその少女漫画体験！！結局どっちなのよ！！ええ！？」

ガクガクとAの肩を揺らす園子。

『いや、どっちとか無』

「そんな訳あるかぁ！？」

『だ、だって…顔面偏差値カンスト人間に惚れちゃうと、自分が釣り合わなさすぎてしんどくならないか…？』

「超分かる。」






(何やってんだあいつら…。)

女湯の騒ぎ様に男湯から苦笑いするコナン。

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