異世界放浪者の推理力は皆無。[名探偵コナン]

episode 3　スリルなお誘い ページ5

安室が窃盗犯を縛り上げ警察に連絡をしていると、眼鏡の少年がAの所にやってくる。


『君か、さっきは忠告ありがとう。』

「どういたしまして！お兄さん凄いね、刃物持ってる相手を蹴るだなんて。海外アニメのヒーローみたい！」


純粋無垢な子どもを演じつつ、探るような目線を投げてくるコナン。
護身術を習っていようと実践できる人間なんてそう居ない。さすがに怪しかっただろうか、刃物慣れしていることが。


「兄ちゃんすげえな！！もっかいやってくれよ！」

「歩美も見たい！」

「映画のワンシーンみたいでハラハラしましたね！」

「こらこら、君達。…しかし、驚きましたね。何か武術を習ってらっしゃるんですか？」

「私も空手やってるんですけど、良い蹴り入ってましたね！ちゃんと急所狙ってたし…。」


少年探偵団に続き、電話を終えた安室と蘭がそれぞれ驚きを見せる。


『ま、まあそうですね…少し。』


「どんなスポーツやってるの？蘭姉ちゃんと同じ空手？それともフェンシングとか？」

今後詮索されても大丈夫そうなものは……


『いやいや、そんなスポーツは得意じゃ無いんだ……えっと、サバゲーやるくらい…かな？』


「へえ〜もしかしてエアガン！？カッコいいね！…………成る程、サバゲーね。」

最後に小さく小さく呟くコナンの声が聞こえた。
駄目だ墓穴2m掘った。何を言おうと怪しまれてしまう。





「あ、あの。この後ポアロっていう喫茶店に行くんですけど、よかったらご一緒しませんか？」


園子が胸の前で手を組み、キラキラした眼差しでAを見つめる。

「安室さんがそこの店員さんなんですけど、安室さんのサンドイッチ美味しいですよ。絶対ハマります！」

「あはは、そんな。ありがとうございます蘭さん。もう1人の店員が作るパスタもおすすめですよ。せっかくのご縁ですし、自己紹介も兼ねてぜひどうでしょうか。」


『良いですね、じゃあお邪魔しようかな。喉乾いてたし。』


正直ここで別れて遠くから観察しようかとAは思ったのだが、今回自分がこの世界へ来た目的…つまり解決すべき異常が何なのか分からない以上、人脈は作っておいた方がいいかもしれないという結論を出した。


「僕もお兄さんともっとお話ししてみたいな。…聞きたいことがあるんだ、色々ね。」


じ、人脈は……作っておいた方が……。

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