異世界放浪者の推理力は皆無。[名探偵コナン]

episode 28　To love mom ページ30

「そうなんです、でもどうしたら良いか分からなくて...。」

『そうかそうか。じゃあ、予定通りやっちゃおうか。お母さんが来る前に、ね。』









「咲っ！！」

「あっ...お母さん！」

二人の元へ咲ちゃんのお母さんが走ってくる。
後ろには、必死に走って探したのか汗が滲んでいる青年が。


「デパートのまわり探してさ、一週したら入り口でばったり。」

『そんなに探してくれたんだ。優しいお兄ちゃんだね。』

「......お、おう。」

汗を拭くふりをして顔を隠す。その意図は彼のみぞ知る。

「ごめんね、咲。お母さんがもっとしっかり見てなきゃいけなかったわ。」

「ううん、ううん違うの！私が自分からはぐれちゃったの、どうしてもお母さんにあげたくて...。」

頭上にハテナを浮かべる咲ママと青年。

『彼女自身、すこしだけ離れるつもりだったようですが、完全にお母さんを見失ってしまったようで。』


「...えっと、どういうこと？」

『「せーの」』


『「誕生日おめでとうー！」』



Aが手に持っているのは可愛らしいミニブーケ、咲ちゃんの手にはピンクのリボンでラッピングされた小箱が。

「まさか咲、この為に...」

『今年から小学生だから、お母さんに今までのお礼をしたかったらしいんです。勿論サプライズでね。』

「やだ、ありがとう咲、凄く嬉しいわ...！！ありがとう！！」

涙目になりながら咲ちゃんを抱きしめる咲ママを見て、ハイタッチの手を出してくる青年。
こちらもお疲れ様の意味を込めて、応えておいた。

「しかし姫？お母様にとって一番の贈り物は"姫自身"だということをくれぐれもお忘れなきように。」

「うん、ありがとうお兄ちゃん！」

「姫の為ならば御安いご用。」

恭しく礼をする青年。
そこまでやって、隣にいる人間に正体が全くバレてないと思ってるのだろうかこの人は。





ピトッ

「冷てっ。」

何度もお礼を良いながら去っていった親子をじっと見ていると、頬に冷たい感触。

『お疲れ様。良かったら好きな方どうぞ。』

Aの手には良く冷えたスポドリと緑茶。

「え、良いのにそんなの...って言いたかったけど、正直喉カラカラだったぜ。さんきゅ。」

ベンチに座りスポドリを受け取ると、かなりの勢いで飲む青年。
その隣にAも座り、緑茶のペットボトルの蓋を開けた。

『...唐突だけど、モテるだろ。黒羽快斗くん。』

「ぶっ！！あっぶね全部吹き出す所だった！本当に唐突だな。…あれ、


俺、名前教えたっけ。」

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