異世界放浪者の推理力は皆無。[名探偵コナン]

episode 27　旅の際は薬草と毒消し草を忘れずに ページ29

『ま、まあ宜しく頼むよ。透のことは組織の中で1番信用してるからさ。』

「…。ふ、一体何を根拠に。既に一回騙されかけたのをもうお忘れで？」

『ああ、忘れたとも。』

「………。そうですか。」

バーボンはそれ以降、目を合わせようとしなかった。




組織の突撃訪問から数日。
今日はシフトもオフで、米花町を散策している。
目的は勿論、異世界からの侵入者の気配を探る為。


(また消えた…向こうもこちらの気配を操っているんだろうか。)

同業者のようなものだからか、自らと同じく世界の外から来た者は、直接会えばなんとなく判る。

『でも断定は出来ないんだよなぁーって...…あら、こんにちは？』

デパートの近くを歩いていると、後ろから誰かに服をつん、と引かれる。
振り返ると、小学校低学年位の女の子が困った顔をしていた。

「ママ、私のママ見てませんか...！」

(ま、迷子か。)

オロオロする女の子に、目線を合わせる為にしゃがむA。

『うーん、残念ながら分からないな。でも、もしかしたら気付かずにすれ違っているかもしれない。』



「『一緒に探そう。』」



誰かと声が被った。それは男性のもので、後ろから聞こえた。


「その子、迷子だろ？俺も探すの手伝うよ。」


2人の背後で、どこかで見た事のある顔が、ニカッと笑っていた。









「茶髪で白いロングスカート、ピンクの鞄な。じゃあ俺の電話番号渡すから、君は女の子と一緒に探してくれ。見つかったらすぐ知らせるから！」

そう言うと、走ってデパートの外を探しに行く青年。


『おお、頼もしい。そういえば名前聞いてなかったね。私は兎乃峯A、お嬢さんのお名前は？』

「え、あ、咲です。」

『咲か、お母さんは良い名前をつけてくれたね。ではでは、咲殿のお母様を探す旅に出ますか！出発！』

「しゅ、出発！」

ノリの良い子だ。

『そういえば、咲ちゃんは何処でお母さんとはぐれたって気付いたのかな。』

デパートのエスカレーターに乗りながら、捜索する場所を頭のなかで絞る。

「あ、えーと...デパートの中に居たんだけど、ママが居なくて、もしかしたら外に出たのかなって...。」

『ふむ、そこで私に会った訳か。それなら、はぐれた場所の近くにいればお母さんが戻って来るかもしれないな。万が一お母さんが外に出ても、さほど遠くへは行かないだろうし…。』


「うん...。あ、あそこのお店の前です！」






『ここは......、はーん成る程。だからはぐれちゃったのか。』

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