episode 26 尋問 ページ28
「……ベルモットから聞きました、あなたが人智を超えた能力の持ち主だと。」
いつのまにか夕方になっていたのか、オレンジがかった日差しが窓から差している。
2人の間には一本の影が落ちていて、お互いにその距離を詰めようとはしない。
『そうだね、そんな所かな。』
「これはただの疑問ですが、警察や国に見つかると困る、というのはどういうことでしょうか。僕が言うのも何ですが、寧ろあなたのような人は、国から保護されるのが最善なのではありませんか。」
何故、国よりも裏社会を味方につけるのか。バーボンはそう問いたいようだ。
『やるべき事があるんだ。』
「やるべき事?」
『うん。その為には、ある程度身軽に動ける状態じゃ無いと不便でね。あまり公にできることでも無いし。』
「……そのやるべき事が何なのかは、監視役である僕にもはぐらかさなきゃいけないような事なんですか。」
『ふふ、何か赤…』
と言いかけて、ハッと口を閉じた。
「赤井さんにも似た事を言われたな」という文章が頭に浮かんでしまった。
しかもそれをあろうことか口に出すなんて、我ながら最悪のミスだ…!!!
一応彼は死んだことになっているのに!!
透、いやバーボンが、赤井が生きている事を既に知っているのかどうかは分からないが____
「どうぞ、そのまま、続けて下さい。」
あ、いや。
知ってんなこれ。
声のトーンを下げ、言葉一つ一つに圧をかけているのがこちらにも伝わって来た。
『えと、赤井さんっていう人にも前に同じ事を言われたなって。』
「ふうん。赤井、ですか。あなたとの間柄をお聞きしても?」
魅せろ、魅せるんだ嘘つきスキルを…!!
『んー…訳ありでちょっとお世話になった人。私の能力の事を知ってる数少ない人なんだ。』
「その方は、男性ですか。」
『え?いや、女性だけど。何故に…?』
「ホォー……あなたの監視をする以上、出来ればあなたに関わった事のある人達について把握しておきたいのですが。」
『ごめん、それは話すつもりがない。巻き込みたくないんだ、その人達を。私が一人でこんな立派な家に住んでるのも、察してくれるとありがたい。』
「______。まあ、良いでしょう。」
こっそり胸を撫で下ろした。内心バックバクである。こんな頭のキレる人間の前で嘘をつくなんて生きた心地がしない。
「……切り捨てる、か。」
彼女に聞こえないよう、消え入る様な声で呟いた。
episode 27 旅の際は薬草と毒消し草を忘れずに→←episode 25 これノックどうのこうの以前でしょ
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休暇を求める者(プロフ) - 鹿野ユズナさん» ありがとうございます。すみません結構変えました…後半も新規ストーリーぶっ込んでるので更に混乱させるかもしれません。ごゆっくり… (2021年8月25日 14時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - だいぶ内容が変化していて「あれ?!こんな小説だったっけ?!」とパニクりました。完全に自分の記憶飛んでるだけでした。頭の片隅にちゃんと居ました。リメイクお疲れ様です。1から読み直してきます。 (2021年8月25日 2時) (レス) id: 6c05b173a1 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - リリーさん» わーありがとうございますこんな夜中まで更新に気づいて下さって…!!後半は結構新規ストーリーになっているので、ぜひお付き合いいただけましたら幸いです。 (2021年8月21日 0時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 休暇さん、フルリメイクお疲れ様です!五エ門との電話や安室さんとのやり取り等、前とすごく変わってて、これ絶対すごく大変だ…と思いながら読ませて頂いてます。貴方様の作品すごく大好きなので、兎乃峰さん共々無理はしないで下さいね、続編も楽しみにしてます! (2021年8月21日 0時) (レス) id: d0e6075152 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 冒頭のコメント失礼します。今度は、名探偵コナンの世界ですか。へ!?赤い彗星!?!?なんで、シャア アズナブルが?? え?冗談!?!? (2019年12月29日 10時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:休暇を求める者 | 作成日時:2016年5月12日 18時