episode 25 これノックどうのこうの以前でしょ ページ27
「ええ、構いませんよ。僕達は一緒にいる時間が長いですからね。」
「却下だ。」
「おや珍しいですね、ジン。彼女はこの上なく合理的な判断をしていると思うのですが、何故反論を?…ああそれとも、僕へのノックの疑いですか。」
ノックとは、裏切り者の事を指すらしい。例えば、潜入捜査官とか。
「何度駆除してもネズミが湧いてきやがるもんでな。裏社会だけじゃねえ、サツや政府に持ってかれても困る。」
煽りに煽り返すように、バーボンの正面へ向かいタバコの煙をくゆらせるジン。
「…持っていかれる、ですか。なにやら私情が混ざっているように聞こえたのですが、僕の気のせいでしょうか。」
「私情。よりによってお前の口からそんな単語が出てくるとは思わなかったな。バーボン。」
再び険悪な空気が漂う。
(ば、バーボンって…そんなコンスタントにジンに喧嘩売ってんの…?)
それとも今回だけのレアケースだろうか。
なんだか他の人達がいたたまれなさそうだったので、何か筋の通った意見を考えてみた。
『…正直、警察や政府にバレると困るのは私も一緒なんだ。だから仮にバーボンがノックであったとしても、私はバーボン側に付くことはない。寧ろ、ノックだと分かった瞬間に私はバーボンを切り捨てなきゃいけない。』
そう、これは本当の事。
私には明確な使命があって、この世界に来ている。
研究対象や駆逐対象になっている暇など無いのだ。
『で、このリスクは誰を指名しようと必ずついてくる。それならやっぱり、生活圏が近い人にガードを頼むのが1番自然で良いと私も思うんだけど…どうかな。』
「………チッ」
舌打ちだけで返事を返された。しかし反論が出てこないということは、納得してくれたのだろう。
「…お前の働きを知った上で敢えて忠告するが、絶対に報告を怠るな。お前の身に変えても、こいつを他に渡すんじゃねえぞ。バーボン。」
「…………ええ、誓って。」
不敵に笑むバーボンをひと睨みすると、他の面々を連れて自宅から去っていった。キールさんだけは丁寧に「お邪魔しました」と会釈をしていってくれた。優しい。
ガチャン、とドアが閉まり、車のエンジン音が遠ざかっていくと室内はぎこちない静寂で満たされた。
「……。」
『なんだい、バーボン。』
何も言葉を発しない彼に問い掛けると、ピク、と反応した後、目を逸らした。
「…すみません。どう、話したら良いか………分からなくなってしまったもので。」
episode 26 尋問→←episode 24 利害の一致
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休暇を求める者(プロフ) - 鹿野ユズナさん» ありがとうございます。すみません結構変えました…後半も新規ストーリーぶっ込んでるので更に混乱させるかもしれません。ごゆっくり… (2021年8月25日 14時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - だいぶ内容が変化していて「あれ?!こんな小説だったっけ?!」とパニクりました。完全に自分の記憶飛んでるだけでした。頭の片隅にちゃんと居ました。リメイクお疲れ様です。1から読み直してきます。 (2021年8月25日 2時) (レス) id: 6c05b173a1 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - リリーさん» わーありがとうございますこんな夜中まで更新に気づいて下さって…!!後半は結構新規ストーリーになっているので、ぜひお付き合いいただけましたら幸いです。 (2021年8月21日 0時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 休暇さん、フルリメイクお疲れ様です!五エ門との電話や安室さんとのやり取り等、前とすごく変わってて、これ絶対すごく大変だ…と思いながら読ませて頂いてます。貴方様の作品すごく大好きなので、兎乃峰さん共々無理はしないで下さいね、続編も楽しみにしてます! (2021年8月21日 0時) (レス) id: d0e6075152 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 冒頭のコメント失礼します。今度は、名探偵コナンの世界ですか。へ!?赤い彗星!?!?なんで、シャア アズナブルが?? え?冗談!?!? (2019年12月29日 10時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:休暇を求める者 | 作成日時:2016年5月12日 18時