episode 15 トウモロコシの香り ページ17
それでね〜、と喋り続ける女子高生の話に耳を傾けつつ、梓と会話する兎乃峯Aの様子を観察する。
以前彼女は、フリーランス業を営んでいると言っていた。具体的に何をやっているのかまでは聞き出せていない。
あれだけ肝が据わっているのなら、フリーのボディーガードか?
いや、悪いがお世辞にもそんな風には見えない。
こんな事すら判明していないように、実際、彼女は話す情報量にかなり気を遣っていた。
こちらから尋ねなければ、元々話すつもりではなかった情報もそこそこあったのだろう。
それが気のせいだったと結論づけるには、かなり厳しい。
「ねぇあむぴ、聞いてる?」
「ええ勿論。目の前で売り切れるって本当に悔しいですよね、もう少し列の後ろの方なら諦めも付きますけど。」
「そーなのよ本当!!なんで私の目の前で売れ切れるかなっていうね!?それで」
「あ。安室さんお客さん呼んでる!」
「あっすみません、行ってきますね。」
注文してくれた常連の鶴山のおばあちゃまに心の中で感謝する。
さっきの女子高生達はよく自分を呼びつけ、話を聞いて貰いたがるのだ。そして終わりが見えない。この忙しい中でも。
性格の悪い子達では決して無いのだが、周りを見ずにやりたいことを優先させてしまうのはまだまだ子供といったところか。
鶴山のおばあちゃまの注文を取りに行くと、丁度近い席に兎乃峯Aが座っていた。
彼女は既にパスタを食べ終え、紅茶もあと少しで飲み干すと言ったところだ。まずい、何も仕掛けられずに帰ってしまう。
注文を取り終えると、カウンター越しに彼女の前へ顔を出す。
「どうでした?梓さんのパスタ。」
『おっ…。はい、美味しかったです!知り合いにも布教したいくらいです。』
話しかけられたのが予想外だったのか、一瞬驚くも通常通りに戻る兎乃峯A。
「良かった!もし良ければ、今度また僕のサンドイッチも食べにきてくださいね。」
『はい、是非。ありがとうございます。』
(駄目だ…手応えが無い。)
彼女の対応はどこまでも適切な距離を保った大人で、寧ろこっちが相手をしてもらってるのではないかと思ってしまう。
一応バーボン…探り屋として異性への対応や踏み込み方は知っているつもりだが、こういうタイプは非常に切り込んでいきにくい。
だがもし。もし何か彼女から話題を振ってくれれば_______
『そういえば、この時間帯っていつも混んでるんですか?』
____貰ったも同然だ。
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休暇を求める者(プロフ) - 鹿野ユズナさん» ありがとうございます。すみません結構変えました…後半も新規ストーリーぶっ込んでるので更に混乱させるかもしれません。ごゆっくり… (2021年8月25日 14時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
鹿野ユズナ(プロフ) - だいぶ内容が変化していて「あれ?!こんな小説だったっけ?!」とパニクりました。完全に自分の記憶飛んでるだけでした。頭の片隅にちゃんと居ました。リメイクお疲れ様です。1から読み直してきます。 (2021年8月25日 2時) (レス) id: 6c05b173a1 (このIDを非表示/違反報告)
休暇を求める者(プロフ) - リリーさん» わーありがとうございますこんな夜中まで更新に気づいて下さって…!!後半は結構新規ストーリーになっているので、ぜひお付き合いいただけましたら幸いです。 (2021年8月21日 0時) (レス) id: 4630244e4e (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 休暇さん、フルリメイクお疲れ様です!五エ門との電話や安室さんとのやり取り等、前とすごく変わってて、これ絶対すごく大変だ…と思いながら読ませて頂いてます。貴方様の作品すごく大好きなので、兎乃峰さん共々無理はしないで下さいね、続編も楽しみにしてます! (2021年8月21日 0時) (レス) id: d0e6075152 (このIDを非表示/違反報告)
やっさん(プロフ) - 冒頭のコメント失礼します。今度は、名探偵コナンの世界ですか。へ!?赤い彗星!?!?なんで、シャア アズナブルが?? え?冗談!?!? (2019年12月29日 10時) (レス) id: fd24bdc7a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:休暇を求める者 | 作成日時:2016年5月12日 18時