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『みっちー？』
道枝「好きです」
『…ありがとう』
どれだけ俺が、好きだと伝えても
この人には響かない
ソファーに押し倒しても、余裕そうな顔してて
子供の戯言だと思われているのだろうか
いや、この人はそんな人じゃない
ちゃんと受け止めて、飲み込んだ上で
『みっちーには、もっと良い人がいるよ』
道枝「…やっぱり、俺じゃAちゃんの運命の相手にはなれん？」
『…私に運命の相手なんかいないの』
道枝「それならそれで良いから…一緒にいたい」
『私と一緒にいたらね、不幸になるの』
道枝「…誰が決めたんですか、それ」
『…え？』
道枝「俺は、そうは思わないし、そんな思いもさせない」
『…。』
道枝「嬉しいことあったら一緒に喜んで、悲しいことあったら側にいて一緒に悲しむから」
一緒にいることで、“不幸”なんて乗り越えるから
『喜びは、2倍になるね』
道枝「Aちゃん、？」
『でもね、悲しみは結局1のまま。1/2にはならないの』
道枝「そんなこと、！」
『例えばね、自分の悲しみをメンバーが背負ってくれたとしても、結局その9/10の悲しみも、戻ってくるんだよ』
道枝「…なんで、？」
『大切な人が悲しんでることが、悲しいから』
道枝「…。」
『戻ってきた時、1…以上になる可能性だってあるの』
道枝「…だから、誰とも一緒にはならないってこと？」
『…屁理屈なんだよね、全部』
道枝「本当に、あほやなぁ、Aちゃん、」
俺には解らない
解らないことが悔しい
道枝「運命なんかないなら、俺でも良いじゃん、」
『…ん』
道枝「こんなん初恋にしたら、一生恋できへんやん、」
『…できるよ、大丈夫』
道枝「好き…大好き…」
『うん…ありがと』
俺なんかでも軽々持ち上げることができる彼女は
抵抗することもなく、ただ、綺麗な目で俺を見つめてて
『手、震えてるよ』
道枝「…Aちゃん」
『おいで』
…あぁ
嫌でも分かる
これで
最後
…俺じゃ敵わない人がいるんだ
明日、目を覚ませば
同じ事務所の先輩と後輩
それだけの関係になっている
それでも
Aちゃんを好いている数多くの後輩の中でも
少しは
特別
だったのだろうか
道枝「…愛してます」
『…ありがと』
俺の初恋
最高だったよ
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作者名：まーー | 作成日時：2023年11月29日 1時
