Adam den【東海オンエア】 (ページ6)

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昔話でもしようよページ6

Aside

高一の夏頃に京都から引っ越してきた、関西訛りのいかつい女。

あとから聞いた話しだとそう言われていたらしい。

見た目から気の強そうな女だと思われるのが多かった。

加えて関西弁となるとどうしてもそう思われるようだ。

そして現在高校三年生。

部活ももう少しで引退かな。

｢ねーね、A！今日、カラオケ行かん？｣

としみつが私の肩を揺さぶる。

『それは行くに決まってる。』

私がそう答えると、としみつは満面の笑み。

嬉しげにしっぽ振りながら自分の文系クラスに戻っていく。

｢いつも思うんだけどさ、なんでAはこのクラスなの？いや、嬉しいんだけどね？｣

りょうが口元に手をやりながら言う。

たしかに。

私の頭はれっきとした文系頭だ。

数字を見ると嫌な気持ちになるし、化学式も覚えれられない。

『なんでかって？』

意味深に切り出してみる。

しばゆーも興味津々にこちらを見た。

『間違えたの、普通に。』

｢はーーー？？｣

りょうが叫ぶ。

しばゆーはんふふ、と笑った。

そう、間違えたのだ。

転校生は編入試験は受けなければならない。

その際の手違いで理系クラスに入っちゃったってわけ。

馬鹿だよね。

｢ばかすぎるーーー！！｣

『数学見たら吐いちゃう文系でーす！』

｢典型的な文系じゃん。だからいつも化学のテストクソみたいな点数とってたんだ。｣

『ねえ。』

｢でもA、赤点回避してない？｣

しばゆーのフォロー。

優しい！！

｢数学もこの前37点とかじゃなかった？｣

『いっつもテスト返却の時、りょうにぶんどられるんやけど。私のテストなのに私が1番先に見れないのはなんで？』

｢あ、関西弁出た。｣

｢俺好きだよ関西弁。｣

こんな毎日をずーっと繰り返す。

楽しすぎる毎日に、ある日転機が訪れる。

｢よっ。｣

『ごめん、掃除当番なの忘れとった。』

｢全然待ってない。｣

『そ？じゃ、行こっか。』

としみつとサシでカラオケへ。

こいつは歌がうますぎる。

私の好きな歌声で、いつか私の作った曲を歌ってもらいたいなんて夢見てる。

なんだか気恥ずかしくて本人には言ってないんだけどね。

｢何歌う？｣

『やっぱいつものやつでしょ。』

としみつが、だよな、と言いながらデンモクをタップする。

予約が完了しました、とテレビ画面に写った。

小さな恋のうた、だ。