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Review.12 ページ13

『どーぞー』

茅ヶ崎「お邪魔しまーす」





両親がいないと言っていたから、もちろん玄関に出ている靴は一人分だけ
俺の家だったら姉貴の脱ぎ散らかした靴が何足もあるから違和感を感じた
その靴の隣に綺麗に整えて俺の靴を置く





『荷物机に置いといて、座ってていいよー』





一人暮らしには広すぎる部屋
机も1人用じゃなくて2人用だ
机だけじゃない
見渡す限り2人用
まるで誰かと暮らしているような…





そしてふと俺の目に留まったもの…仏壇だ





おそるおそる近づいていく
そこには写真立て一つとピンクの花がいけられていた




写真立ての中の人物の笑い方はすごく仁坂に似ている





『私のお母さんだよ』






いつの間にか背後にいた仁坂
今まで見たことないくらい優しくて悲しい顔をしていた





『今度話すって言ったもんね。ちょっと重い話になるかもだけど許してね』





いつもの笑顔とは違う、あまりにも無理した笑顔に心が痛くなった





『私のお母さん、4ヶ月前に亡くなったの。年明けすぐだったかな?ガンで亡くなって、亡くなるまでそんなこと知らなかった





お母さんはいつも私の舞台を観に来てくれてて、その日も千秋楽で、観に来るはずだったんだ
でも倒れたっておばあちゃんから連絡があって、公演が終わって病院に着いた時にはもう…
その時、ついに1人になっちゃったって思った





両親は私が小学生の時離婚して、お父さんはどこにいるか知らない
親戚で知ってるのはおばあちゃんだけで、迷惑かけるのもあれだから一人暮らししてるの





この家も元々お母さんと2人で暮らしてたけど、今は私1人には広すぎるんだよね





受験直前だったし、いっそのこと目標を高く持ってやる気だそうと思って、学区1の学力の学校目指したら本当に受かっちゃって、びっくりだよ
うちの中学校から受ける人いなかったから丁度良かったしねー





これが私の両親がいない理由
ハイ、暗いのやめやめー!』

茅ヶ崎「ねぇ、その作り笑顔やめて」

『え…』

茅ヶ崎「最後のほう無理矢理明るくしてるのバレバレ」

『っ…』

茅ヶ崎「どうせ仁坂のことだから誰にも言ってないんでしょ」

『どうせって「言ったの?」…言ってないです』

茅ヶ崎「ハァ…普通一人で抱えれるわけないじゃん。逆にここまで耐えれてたのが凄いわ」

『…』

茅ヶ崎「“私の前では素の自分で”。それなら俺の前では素直になってよ」







To be continued…

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作者名:梨菜 | 作成日時:2019年3月22日 23時

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