#１３６ ページ38
．
行かなくちゃ。
伝えなきゃ。
ひたすら走って、とにかく彼に会いたくてしょうがない。
スマホで電話しても繋がらず、ただひたすらに向かう彼の家。
何回か電話しても出なくて、試しに龍友くんに掛けてみると一発で出てくれた。
『涼太くんどこにいるか知らないですか … っ！』
「どこ … って、お前今走ってるんか？」
『そんなのどうでもいいんですっ！！』
疲れて足を止め、背負っていたベースを下ろす。
『早く … 会いたいんです … っ』
私の切実な思いを伝えたのに、龍友くんは黙って電話越しで何かを弄ってる様子。
「お前今どの辺におるん？」
『えっと … 』
何となくこの辺という情報を伝えると、龍友くんは「10分くらい待っとき」とだけ言って電話を切ってしまった。
『待っときって … もうっ！』
しょうがなく近くにあった階段の端に邪魔にならないように座り込んで、彼の言葉通り待ってることに。
最初はリサさんに連絡して、岩さんたちに迎えでも頼んだのかと思ってた。
でも、その予想を大きく裏切ることになった約10分後。
――――――――――ブーンッ！！
爆音と共に現れたのフルフェイスのヘルメットをかぶった龍友くん。
バイクに跨って、私の前でピタリと止まった。
「もっとわかりやすいとこにおってくれてもえぇやん！！」
『だ、だって、迎えにくるなんて思ってなかったから … っ』
龍友くん本人がまさかバイクで現れるなんて思ってもみなかった。
「いいから早く乗りやっ」
私の分のヘルメットを投げて渡し、龍友くんは席の後ろを指差す。
断る理由は何もなく、バイクの後ろに跨り龍友くんにしがみつく。
『居場所わかってるの？』
「なんとなく、多分ここってぐらいやけどな」
とにかく龍友くんがいう場所に向かうしかない。
違ったら、その時はその時でまた探せばいい。
バイクを走らせて数十分。
龍友くんが向かったのは、私が一生寄り付かそなさそうな閑静な音楽ホール。
『こ、ここ … ？』
「電話にも出ぇへんし、今いるんだとしたらここが一番最有力候補」
バイクを止めた龍友くんは一緒にホールの中まで付いてきてくれた。
「 … やっと決めたんか」
『うん、やっと … 素直になれた』
いつものように、わしゃわしゃと頭を掻きまわす龍友くんは少年のような笑顔でいた。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 207人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜天(プロフ) - こじゃるさん» コメントありがとうございます！！これからもちょこちょこと頑張ります！ (2019年9月10日 7時) (
レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
こじゃる(プロフ) - 更新頑張ってください！続きがある気になります！ (2019年9月9日 21時) (レス) id: f9de41481b (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - aoiさん» いつもありがとうございます！！やっぱそのお話が人気ですね！これは最有力候補...これからも、純情不協和音をよろしくお願いします！ (2019年8月30日 7時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - bluestarさん» 占ツクでの連載はお待ちくださいm(*_ _)m (2019年8月30日 7時) (レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - いつも読ませて頂いてます！いま募集している内容のことなんですが、涼太くんと隼のストーリーが見たいです！純情不協和音も楽しみにしていますので、これからも頑張ってください！ (2019年8月29日 23時) (レス) id: 76f60be2dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜天 | 作成日時：2019年8月21日 14時
