Secret《S.S+K.N》 (ページ10)

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#１０. ページ10

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『先輩！お待たせしてすみません！』

ダイニングに入ると先輩はスマホを弄りながら、昼食を食べていた。

和「こっちこそいきなり押し掛けてごめん。よく眠れた？」

控えめに頷き、影山が先輩の隣の椅子を引き私はそこに座る。

和「今日雰囲気違うね … 」

『へ、変ですか？』

和「ううん、すっごく可愛い」

こんな恥ずかしいことをなんでサラッと言えるんだろ。

どう反応していいのかわからなくて目線を泳がせてモジモジしてると影山は私のそばにきて顔を覗く。

影「お嬢様、ランチの方はいかがなさいましょう」

和「あ、俺とランチ行こーよ」

『え、あ … はいっ！』

笑顔で振り返り影山と、彼の表情がちょっと曇ってるような気がした。

『あっ、ウサギちゃんにはご飯あげといてね』

影「かしこまりました」

和「ウサギ？飼ってるの？」

『庭に迷い込んでて … 」

和「へぇ … 」

興味あるのかな？

『会います … ？』

和「まじで？会ってみたいかも」

影山に目で合図すると、軽くお辞儀をして部屋を出ていく。

暫く続く沈黙。

先輩はスマホ弄りながらジュースを飲んでいて。
2人きりになると何喋っていいかわからない …

『あの … せんぱ』和「神楽！？」

勢いよく椅子から立ち上がり、戻ってきたウサギを抱き抱えてる影山に駆け寄る。

和「やっぱり神楽だ … 」

ウサギを彼から受け取ると慣れたよう手つきで抱き抱える。

『もしかして、先輩のペットですか … ？』

和「そう！なんでこんなとこに居たんだよ、お前」

こんなふうにも笑うんだ …

無邪気に笑うその顔から、この子のことが大好きで心から心配してたのが読み取れる。

『よかった、飼い主見つかって』

和「ありがと。Aちゃんに見つかってなかったらコイツどうなってたか … 」

ウサギのフワフワした毛並みを優しく撫でながら先輩がボソッと呟く。

和「それにしてもなんでこんなとこ居たんだろ … 」

『せん … ぱい … ？』

和「 … ん？」

なんでだろ。
たまに先輩が物凄く冷たい雰囲気を醸し出すときがある。
明るく優しかった瞳が一瞬で深い闇に変わる瞬間。

和「コイツのこと、帰りまで預かっててもらえない？」

『わ、わかりました』

和「ありがと」

でもそんなの私の気のせいだよね？
こんなに優しくてあたたかい先輩が、本当は冷徹な人なんて有り得ないもん。

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