Secret《S.S+K.N》 (ページ42)

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#４２. ページ42

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溢れ出てきたそれを手で拭いながらまた歩き出す。

先が暗い長い廊下の先には何が待ってる？
このままひとりぼっちのままなのか、それとも …

グスッと鼻をすすり顔を上げると、よく知っている部屋が見えてきた。

『え … っ』

扉の隙間から中の明かりが漏れてるのが見えて、思わず持っていた荷物を落とす。

ここまで真っ暗だったお屋敷で唯一明かりが灯ってる部屋。

『私の、部屋に … 』

いるかもしれない。

不安がどんどん消えていき、足も軽くなった気がする。

お願い、影山。

その軽くなった足で走り出し、勢いよく扉を開ける。

『かげや … ま … ？』

呼びかけて反応はなく、誰もいない。
部屋の中に入って周りをよく見てみてもその部屋には誰もいなかった。

全身の力が抜けて、床にペタンと座り込んでしまい。
止まったはずの涙がボロボロと流れ出すのに、頬は笑ってる。

『ほら … やっぱりいないじゃん』

期待なんて最初からしなければ良かった。
そもそも主のいないお屋敷に執事がいても意味無いじゃん。

『私のバカ』

その言葉を口に出すと、私の中で何かがプツンと切れた音がして泣きじゃくった。
子供みたいに声を出して、我慢することなく素直に。

もう何もなくなったと実感した時。

──────────ガシャンッ！

背後で食器が割る音がして、振り返るとそこに …

『 … 嘘っ』

そこにはティーセットを落として、目を丸くして立ち尽くしてる影山。

「お嬢 … 様 … っ」

久しぶりに聞いた声にまた涙が溢れ出す。

こういうときってなんて言えば …

『かげ … っ』

「お嬢様っ」

考える暇もないぐらい早かった。
苦しいぐらい強く影山に抱き締められて頭が真っ白。

そしてさらに。

後頭部に手を添えてグイッと引き寄せらたと思えば、目の前にある影山の表情にドキッとして目を閉じた。

「ご無礼をお許しください」

『え … 、っ』

理由を聞く間もなく唇を奪われて、思わず影山の服をギュッと強く握る。

長く優しいキスで、今までのことを全て綺麗にしてくれてるようで。

『は … っ、あっ』

息が苦しくなり声が漏れると、そっと離れる影山。

「おかえりなさいませ、お嬢様」

私の顔をもう1度手を添えて確認すると、また強く抱き締められた。

『た … だいま』

もう1度、伝えたい。
素直に、この想いを。

『好きだよ、影山』

耳元で息を吸い込む音がした。

「私も … 愛しております」

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