Secret《S.S+K.N》 (ページ41)

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#４１. ページ41

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土砂降りの雨の中、必死に走った。
目も開けられないぐらいの雨でもう服も髪もビショビショ。

『傘、借りてくればよかったかもっ』

荷物は濡れないようにと抱え込んでいるけど、きっともう手遅れ。

体温がどんどん奪われていき、無意識に足が遅くなっていく。
走っていたはずだった私の足はいつしか歩くにも遅いスピードに。
1歩ずつ足を踏み出すと、靴からぐちょって音が聞こえてきそう。

上がった息を整えながら体に張り付いた髪を避ける。

『 … 大丈夫、大丈夫』

雨のせいか一気に不安が押し寄せてきて、そう自分に言い聞かせる。

あの人は待ってるって言ってくれてたもん。

その一方で。
本当にあの人は待っててくれてるのか。

良い方に良い方にと考えれば考えるほど、悪い方に気持ちが流れていってしまう。

遅いけど1歩ずつ、気持ちを整理しながらお屋敷に足を進める。

『確かこの辺 … 』

森の中にあるはずのお屋敷から全く光が漏れてない。

──────────ズキッ

胸をギュッと握り締め、深く深呼吸。

『み、みんな寝ちゃったんだよ … きっと … 』

時間はもう0時を過ぎていて、主のいないお屋敷の人たちは早々に仕事を終えて静まり返ってりだけ。

でも、貴方は。

『 … 居るよね、影山』

溢れてきそうなものをぐっと堪えてゆっくりと裏口の方へ歩いてく。
中の様子を見たくても生い茂る森が邪魔をして全く様子がわからない。
それが余計に私を不安と緊張で埋めていく。

『あった … 』

裏口の扉を見つけ、小走りで扉の前へ行く。
ポケットの中にある鍵を鍵穴に差し込み、ゆっくりと回すとガチャンと響く音。

中に入るとそこには懐かしい風景が広がる。
雨のおかげで広い敷地内には薄く霧が出ていて趣のある情景に。

そんなのお構いなしにお屋敷の中に入り、薄くライトが付いたままになっている玄関を抜けて、自然とあるところに向かっていた。
ぽたぽたと雨の雫を垂らしながら、静かなお屋敷の中を歩く。
私が知っている限り、一晩中電気がついているはずのところはどこも電気が消えていて、私がいた時のような賑やかさが全く感じられない。

『誰もいないの … ？』

人気の感じられない広いお屋敷。

影山、あなたはここに居ますか？

『お願い … っ』

雨の雫とはまた別の雫が溢れ落ちた。

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