#５. ページ5
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助手席に乗せられた先輩が運転する車の中。
なんか緊張して先輩の顔見れない …
「Aちゃん」
『は、はい！！』
思いっ切り声が裏返って、みるみる顔が赤くなっていく。
「緊張してんの？笑」
『いや、そんなことは … 』
「正直な方が女の子は可愛いよ？」
『緊張、してます … 』
何バカ正直に答えてるの。
「ははっ、面白いね、ほんと。笑」
『なんで笑うんですか … 』
ムスッと口を膨らませて下を向く。
『私のことからかって楽しいですか』
「可愛いんだもん、初々しくて可愛い」
『な … っ』
か、可愛い？今可愛いって言ったよね？
私が？どこが？何が？どうして？え？
「ほらほら、そーゆーときの顔がほんと可愛い」
『え、あっ、見ないで！ … ください』
「あははははっ。笑」
どうしよう、やばいって！
今すぐこの車から飛び降りて逃げたいっ。
「家、ここら辺？」
『あ、はいっ、そこ曲がったところ … 』
曲がった先に見える大きな門を見て、先輩は「スゲー … 」と声を漏らす。
『驚きますよね … はは … 』
「ほんとにお嬢様なんだね」
『１ヶ月ぐらい前から … 』
「え？」
『い、今、門開けますっ』
誤魔化す必要ないのに、焦りと緊張でな何故か話をそらしてしまった。
電話で影山に『門開けて』と短く伝える。
開いた門を潜り、噴水のあるロータリーをぐるっと周り、車を玄関の前に着けてくれた。
影「おかえりなさいませ、お嬢様」
車を降りると玄関では影山が待っていて、私の荷物を預かる。
「うわぁ、執事まで … 」
『ありがとうございました、先輩』
影「二宮様、ありがとうございました」
「どういたしまして」
「じゃ」と短く挨拶をして、先輩は帰ってしまった。
『 … 素敵だな』
影「お嬢様」
『なーに？』
影「恋、でございますか？」
『え！？ち、違うよっ、バカ！』
影「今度デートでも誘ってみてはいかがですか？」
学校の人気者の二宮先輩をデートに？
そんなことしたら……
『する訳ないでしょ。また、あんなこと起きたら … 』
影「あんなこと？学校で何かあったんですか？」
『ううん、何も』
影「ですが … 」
『影山、お腹空いた！』
心配そうな影山を元気な私を見せて安心させようと平気な振りを装う。
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作者名：夜天 | 作成日時：2017年3月9日 19時
