Secret《S.S+K.N》 (ページ39)

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#３９. ページ39

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家に帰って、夜になってもこの空気は続いたまま。

1人で先に寝室に入っていった和也を見てから、私はあることを考える。

『影山 … 』

手のひらに握ってるのはあの日もらったお屋敷の鍵。

──────────「もし何かあればこの影山、いつでもここでおかえりをお待ちしております」

今更、あそこに戻ったところでどうするの。
伯父様はきっとカンカンに怒ってるだろうし、影山だってその責任でもしかしたらクビになってるかもしれない。

それに、あそこに影山が今いる保証はない。

『一か八か … 』

それでも、賭けてみるのも悪くないかも。

届かない想いでも、それでもいい。

『だって、ずっと好きなんだもん … 』

ギュッ鍵を握り締めて、ぎゅっと唇を噛み締める。

椅子から立ち上がり、部屋の隅に置いてある私の荷物に手をかける。
周りに散らばっていた荷物をバックの中に詰め込み。

部屋の中をぐるっと見渡し、今までここであったことを一つずつ思い出していく。
2人でご飯作ったり、勉強教えてもらったり、絶対に勝てないのに和也とゲームしたり。

窮屈な思いをせずに、ここでは楽しい生活を送れてた。
それも全部、和也が居てくれたから。

ゆっくり1歩ずつ歩いていき、寝室のドアに手をかける。

──────────ガチャッ

部屋の中ではスースーと寝息をたてて眠ってる。
静かにベッドに近づき、彼の横に腰掛けて頬にかかった髪を指でそっと避ける。

『今まで … ありがとうございました、先輩』

優しく頬にキスをする。

今日でこの関係も終わりにします。
突然ここに現れた私をこんなに良く接してくれてありがとうございました。
彼女らしいことは特に何も出来なかったけど、貴方が彼氏でいてくれたこの数ヶ月はとっても楽しかったです。

でも、一つ謝らなきゃいけないことがあります。

『好きになれなくて、すみませんでした … 』

部屋を出て、机の上に家の鍵ともらったスマホを置いていく。

外ではゴロゴロと雷が鳴っていて。

『また雨 … 』

あの時も土砂降りだったっけ。
もしかして、私って雨女？

荷物を持って玄関まで静かに歩いていく。

出来ればあのお屋敷には戻りたくない。
でも私はあの人を信じたい。
あの人だけは信じていたい。

そう強く思い、深く息を吸い込んで部屋を出た。

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