#３８. ページ38
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久しぶりに一緒に大学から2人で帰る。
それなのに弾む会話なんてひとつもない。
あのことを聞きたい。
言葉に出したら全て崩れてしまいそうで怖いけど、真実が知りたい。
『 … ね、ねぇ』
「ん？」
『あの … 』
いざ、言葉に出そうとすると首がキュッと締め付けられたようになって話がそこから進まない。
「俺、もう会わないよ」
『え … 』
「他の子たちと」
やっと和也が口を開いてくれた。
やっぱりあのスマホにあった子たちは元々和也と遊んでた人たちなんだ …
「Aに隠してたの、ずっとどうしようかと思ってた」
『付き合ってたの … ？』
「正直に言うと、ただ遊んでただけ」
『遊んでた … 』
私が想像してた和也からは想像もできないぐらい衝撃的な一言だった。
『私も、その … 1人なの … ？』
和也の表情が曇る。
「 … そう、だった」
『だった？』
「都合のいい女の子だと思ってた。けど、今は違う」
運転をしながら片手で私の手を握ってきた。
「あの夜、ずぶ濡れでうちにいたAを見て、あ、この子を守らなきゃって思った。俺だけはAの味方でいてあげるって … 」
『和也 … 』
彼の言葉に安心したのに、校内で見たあの光景がそれを信じていいのかどこかで疑う。
「Aがうちに来てからは遊んでないから」
嘘。
じゃあ、さっきのあれはなんだったの？
『 … してた』
「なに？」
『キス、してたじゃん』
「何言ってんの … 」
一瞬だけだったけど、和也が動揺したのがわかった。
『大学の校舎裏で、女の子とキスしてるの見えた … 』
「 … っ、あれはっ」
『もう遊んでないなんて … 嘘じゃん』
「話聞けって！」
握られてた手を振り払い、窓にもたれかかり街路樹を眺める。
終わりなんだなって実感してしまった。
神様は私が幸せになるのがそんなに嫌なんだ。
やっと掴みかけた日常だったのに、もう手のひらからこぼれ落ちた。
歯を食いしばり、涙が堪えてくるのを必死に我慢した。
弁解しようと話しかけてくる和也の声は隣に居るはずなのにすごく遠くから聞こえてくる。
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作者名：夜天 | 作成日時：2017年3月9日 19時
