Secret《S.S+K.N》 (ページ36)

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#３６. ページ36

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彼と、どう接していいのか分からなくなってしまった。

ここ数日、必要最低限の言葉しか交わしてない。
私にはことある事に「ごめん」と言ってくるけど、その意味はずっとわからないまま。
『もういいよ』『大丈夫』って一言言えばいいのに、その言葉は素直に出てきてくれなくて。

学校ではやっぱり肩身が狭いままで、周りの女子から煙たがられるのがひしひしと伝わってくる。
彼女でいることがそんなにいけないことなのか。

信頼できる人と一緒にいたいだけなのに。

そんなことを思いながら窓の外を眺め、視線を下の方に落とす。

『あ … 』

２階から見えたちょっと入り組んだ校舎裏。
遠くてよく分からないけど、ちょうど私がいる角度からカップルが熱いキスしてるのが目に入ってしまった。

無視しようと視線を逸らそうとした時感じた違和感。

… あれ？ちょっと待った。
あの服って、今朝和也が着てたのと似てるような …

恐る恐る視線を戻して、目を凝らしカップルらしき人たちを見てみると。

『 … っ！！』

あの時と同じように心臓が飛び跳ねて、呼吸が浅くなっていく感覚。
倒れそうになったのを窓の枠にしがみつき、かろうじで耐えた。

『嘘でしょ』と思うのと同時に『やっぱり』という感情も一緒に生まれた。

周りの人が心配そうに私のことを見て通り過ぎていくのに気付き、おぼつかない足取りで壁伝いに歩きながらその場から離れた。

和也はやっぱりそういう人だったんだ …
見えないところだとはいえ白昼堂々、私もいる校内であんなことするなんて。
この数ヶ月見てきた和也は偽物で、きっと今の姿が本当の姿なんだろうな。

私のせいで窮屈な生活させてたんだ。

ごめんなさい。
私こそごめんなさい。

やっとの思いでたどり着いた女子トイレに入り、しゃがみ込む。

『 … うっ』

口元を抑えても漏れる声を必死に堪える。
瞼を閉じても溢れ出てくる涙は頬を流れ、服にシミを作っていく。

やっと見つけた居場所だったのに、また無くなってしまった。
こんなことになるぐらいだったら嫌われてても何とも思われてなくてもいいから、あそこに居れば良かった。

『か、げやま … っ』

名前を呼んでもそばに来てくれるあの人はいない。
行き場のない言葉はトイレに響くだけ。

『また … 、ひとりになっちゃった … よ、私 … 』

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