#２６. -KAZUNARI side- ページ26
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傷だらけの女の子を俺のものにするのは凄く簡単。
ちょっと優しくしただけで、コロッと俺のところに転がってくる。
「はい、俺の勝ち〜」
『い、今のはズルですよ！！それに … 先輩の得意なゲームなのに無理ですよ … 』
「ズルじゃないし〜。てか、敬語と名前」
今朝、約束したの。
俺の彼女になるなら敬語は無しにしよって。
『ごめんなさい … っ』
「これから敬語になったら罰ゲームしてもらおうかなぁ？」
『 … っ！？』
「何がいいかなぁ … 」
横に座っている彼女と向き合い、顔を突き出すようにしてじっと顔を見る。
「今度から約束破ったら … Aからキスして？」
『は … 、え！？』
「あ、それともこれ以上のものがいい？笑」
『それはそれで … あの … 』
「なーに？できないの？」
顔がみるみる赤くなって、目も合わせてくれない。
逸らされた目を追いかけるように顔をのぞき込むこと数回。
「 … ん」
やっとキスをしてくれた。
甘くて初な柔らかい唇。
俺なんかの汚れた唇とは大違い。
心も体も汚れきってて、こんな綺麗で純真な子を触ってしまうのも少し躊躇するけど。
『これでいいで … っ、いい … ？』
「よくできました」
彼女の頭をポンポンと撫でる。
そのまま手を肩へ滑らせ、自分の方へ抱き寄せた。
『 … ？』
上目遣いで俺のことを見上げてくるその顔、反則だろ。
どうでもいい存在のはずなのに。
ただの遊び相手なはずなのに。
俺の中でどんどん想いが強くなってく。
こんなの想定外だよ、ったく。
「もう逃げられねぇな … 」
『 … なに？』
「なんでもなーい」
こんなに愛おしいと思う存在に出会えるなんて、捨てたもんじゃねーな、人生。
半分捨ててたような乾ききった俺の生活は、これから潤っていくのだろうか。
心の中に閉まってある秘密。
金持ちの生活が嫌だった彼女に、俺の正体を明かしたらどうなってしまうのか。
1人の女性を愛することが、こんなに不安なことなのを今思い知る。
それでもAのことを守らなきゃいけない。
けど …
どうやっても、その瞳の奥にはアイツが映ってんだろうな。
「好きだよ、A」
そう俺が口にしても彼女は頬を赤らめて頷くだけ。
今日もAの口から�犢イ��瓩箸いΩ斥佞鯤垢韻覆�った。
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作者名：夜天 | 作成日時：2017年3月9日 19時
