#２３. -KAGEYAMA side- ページ23
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和「そんなカッコイイこと言えるんだ」
俺の腕を振り払い、乱れた襟を直しながらそう言った。
和「じゃあ、俺から奪ってみろよ」
「それは … っ」
和「それは？できないって言いたいの？」
彼は狂ったように笑い出す。
和「はははははっ、馬鹿だなぁ本当。Aちゃんはあんなのことなんとも思ってないよ？」
「それでも … いい」
和「自分の傍に置いておいて安心したいだけだろ。所詮全部自分の為なんだよ」
体から血の気が引いていく感覚がした。
ゾワッと背筋が凍りつき、彼の言葉に何にも言い返せなくなってしまった。
和「図星かよ。幸せなやつだな、お前」
そう言い捨てて、彼は部屋から出ていこうとして。
和「Aちゃんの荷物勝手に持ってくから」
「 … 待てよ」
和「ん？まだなんか言いたいの、執事さん」
「これを … お嬢様に … 」
ポケットから取り出したのは鍵。
「お屋敷の裏の扉の鍵です」
和「こんなものAちゃんに渡してどうすんの」
「もし … もし何かあればこの影山、いつでもここでおかえりをお待ちしておりますと、お伝えください」
和「そんなの聞く耳持たないと思うけどなぁ … 」
手のひらに乗せた鍵をじっと見て何か考えているようで。
和「まぁ、いいよ」
「それと、俺の昔の話は」
和「言わねーよ、そんなこと言ったらAちゃんが責任感じちゃうかもしんねーし」
「ありがとうございます … 」
和「あんたの為じゃない、Aちゃんの為」
「じゃね」とひらっと手を振り部屋を出ていった。
深くため息をつき、自分の無力さを改めて痛感した。
「何のために俺は�牘道貝瓩砲覆辰燭鵑世茵�
�珈�井翔�瓩箸いμ樵阿魃�し、一之瀬家のために仕えてきた。
全てはA様の為に。
───────「所詮全部自分の為なんだよ」
確かにそうだった。
傍にいることで満足して、自分は充実していた。
「けど、お嬢様は違っていたのですね … 」
俺に絶対叶わない恋心を抱いてしまい、苦しめてた。
俺がお嬢様の想いに応えることが出来ても、幸せになれることはない。
このまま政略結婚を待っているより、二宮家の跡取りと一緒にいる方が幸せなんだ。
「お嬢様の幸せが … 影山の … 幸せでございます」
そう、自分に言い聞かせる。
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作者名：夜天 | 作成日時：2017年3月9日 19時
