#１９. ページ19
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「捨てられたのか … あの執事に … 」
捨てられた … ？
あぁ、もう言わないで。
あんな執事なんて …
和「早く俺の物になってれば良かったのに」
そうすれば良かったのかな。
『二宮 … 先輩 … 』
うっすら目を開けると目の前には覗き込むように私のことを見てる先輩が見えた。
「おはよ。あと、いっらっしゃいませ」
『勝手にお家入って、ごめんなさい … 』
「そんなにびしょ濡れでソファーに寝ててびっくりしたよ。風邪引く前にお風呂入ってきな」
なんでこんなに安心してるんだろ、私。
先輩の暖かい手の温もりが冷えきった私の頬から全身に伝わってくる。
「 … 話したくなったら、何があったか聞かせてくれる？」
優しい笑顔、優しい声色。
こんな私をすんなり受け入れてくれた。
もう …
なってしまおうか。
『先輩 … 』
横になっていた体を起こして、先輩の顔をじっと見つめる。
「ん」
『私を、先輩の彼女にしてください』
「もちろん」
見上げていた顔に手を添えて親指で頬を撫でる先輩。
朝日に照らされて瞳がキラキラと輝き、笑顔も数倍かっこよく見えた。
添えていた手を頭の後に滑らせて、顔を近づけ唇が触れる寸前で「いいの … ？」と確認をしてくれた。
それにコクンと頷くと、優しくキスをする。
「なんでそんな泣きそうな顔してんの」
『え … 、そんなつもりは … っ』
「あの執事が忘れられない？」
『もう、忘れました … 』
「そう」
そういうと先輩はまた私の唇を激しいキスで塞いだ。
全てが消えていくような感覚。
大好きだったあの人への気持ち。
そんな想いも塗り替えられていく。
先輩の首に腕を回し、自分からも彼を求めてみる。
クスッと笑って私を試すかのように先輩は舌を絡めたまま動くことをやめてしまった。
『 … んっ』
私がどれだけ必死に舌を絡めてみても全く反応してくれない。
『先輩っ』
「ん？」
『なんで … あの、その … 』
和「ちゃんと言ってみ」
『もっと … 』
「はっきり言ってくださーい」
『もっとしてくださいっ！』
顔を真っ赤にして目を逸らして答えを待ってると、私の腰に回し軽々と持ち上げられた。
「とりあえずお風呂入ってください」
『あ … は、はい』
「その後、ゆっくり … ね？」
妖艶な彼の微笑みにもう何も言えなくなった。
「もう俺のことしか考えられないようにしてあげる」
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作者名：夜天 | 作成日時：2017年3月9日 19時
