#１２. ページ12
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「好きなの？」
好き …
影山のことが？
『 … わかんない、です』
ドクッと心臓が跳ね上がる。
ただの執事なのに、こんなに影山のこと想うようになってたんだ。
膝にあった手をギュッと握る。
「好きにさせてあげる」
『 … なにを？』
「俺のことしか考えられないぐらい好きにさせてあげる」
私に何も答える隙も与えず、先輩が私の座席のシートを勢い良く倒して覆いかぶさってくる。
動揺して何も答えられないでいる私に彼がクスリと笑う。
「こういうの初めてなの？」
『か、からかわないでください … っ』
「からかってないよ？俺はいつでも本気」
首元に顔を埋めて彼の息が私の耳にかかり、体がビクッと揺れる。
「Aちゃん … 」
『な、んで … すか』
このままだとヤバイ。
こういうの初めてで全然分かんないけど、この流れはヤバイ。
無意識に体が強ばっていくのが分かる。
「 … くくっ」
『 … え？』
「もう、無理っ」
次の瞬間、先輩が起き上がり目に涙を浮かべながら大声で笑い始めた。
ぽかーんと口を開けてこの状況を全くのみ込めないでいる私のシートを「ごめんごめん」と笑いながら起こしてくれた。
「本気にした？笑」
『び、びっくりさせないでくださいっ！！』
ちょっと身構えてた自分に恥ずかしくなり、顔を真っ赤にしてぷいっと顔を逸らす。
「ほんと可愛いなぁ、マジになりそうだったもん、俺。笑」
『最低ですね！！先輩！！』
「本気でそんなこと思ってんの？」
覗き込むように私の顔を見ながら、さり気なく髪を撫でてくる。
『思って … ないですけど … 』
「じゃぁ、良かった」
チラッと先輩の顔を見ると、子犬みたいな目で首を傾げてこっちを見てて。
「また、デートしよ？」
『 … っ』
胸が苦しくなる。
恋ってこういうものだったっけ？
けど、頭の中に浮かんでるのは違う人。
矛盾してる？
恋じゃないんだったら、これは …
「まっ、いつでも連絡しておいで。それか、うち来てもいいよ？笑」
『お家は行きませんよっ、鍵お返しします』
「いいよ、持ってて。俺、合鍵持ってるし」
『でも … 』
「寂しくなって、どうしようもないもなくなったら俺のとこおいで」
ポンポンと頭を撫でてから、彼は運転席に戻り車を走らせた。
先輩、これ以上私を触れないでください。
先輩に触れられる度に、お屋敷で待ってる彼のことがどんどん恋しくなってくから。
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影山のことが、恋しい …
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作者名：夜天 | 作成日時：2017年3月9日 19時
