#７４ ページ25
．
『なんで … っ、なんでよっ！！』
勢いよく紀久に掴み掛り、そのままの勢いで彼のことを押し倒して馬乗りになる。
俯いた瞳からポロポロと流れ出す大粒の涙は、紀久の頬に落ちて流れていく。
『なんで、スモーキーが … っ！！』
こんなこと、紀久に言ったってしょうがないのはわかってる。
きっと、スモーキー自身が自分から望んでやったことなんだってことぐらい私にだって理解できる。
理解はできても、受け入れられない。
『なんで … 止めてくれなかったの … っ』
胸倉を掴んでいた手に力が入り、紀久の服がギュッと鳴る。
「 … スモーキーのこと、一番わかってんのはお前だろ」
そうだよ、だから悔しいの。
私の為 … 家族の為に命を懸けることに躊躇なんてない人なんだから。
それを止めることができなかった自分が悔しくてたまらないの。
「A … 」
紀久は私の頬に手を伸ばし、そのまま私を抱き寄せた。
「 … アイツは守りたい大切なもんの為に、一人で飛び込んでったんだよ」
耳元で囁かれる声。
いつもの紀久からは考えられないくらい優しい声だった。
「愛する女を守るために … 」
――――――――――「A … お前のことを愛してる … これが俺の気持ちだ」
私、スモーキーに愛されてたんだ。
あんなに迷惑かけて、突き放して、逃げて、逃げて … 紀久に逃げた。
それでも、彼は「愛してる」と言ってくれたのに …
『私、返事できてないよ … っ』
私の気持ちなんて、もう一生彼に届くことはない。
今まで守ってくれたお礼も、想いも、全部言えないまま。
そう思った。
タケシが何かに気付き、スモーキーに駆け寄った。
T「おいっ、スモーキーっ！！」
肩を揺すり、静けさを取り戻した建物の中に響く叫び声。
そんなタケシの様子を見て、私も顔を上げて呟く。
『スモーキー … ？』
その瞬間。
未だ毒が抜け切れていないのに、身体がすごく軽かった。
ゆっくりに開いた瞳に、私の姿が映ったんだろうか。
彼が、微笑んでくれた。
途端に私の身体は紀久から離れて、スモーキーに抱き着いた。
彼がいなくならないよう、強く。
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夜天(プロフ) - まゆさん» コメントありがとうございます！最後まで読んで頂きありがとうございました！日向ちゃんもいいですよねぇ...どのキャラも捨てがたい... (2020年7月18日 10時) (
レス) id: 29584efb35 (このIDを非表示/違反報告)
まゆ(プロフ) - 完結おめでとうございます！とても面白くて完結が少し寂しいです笑、達磨一家の日向の話をリクエスタしたいです！次回作も楽しみにしてます (2020年7月18日 0時) (レス) id: c9422fb7c8 (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - みかんさん» 良かったら読んでみてください(*^^*)たくさんお話出来てうれしいですよ！ (2020年7月16日 20時) (レス) id: 29584efb35 (このIDを非表示/違反報告)
みかん(プロフ) - 夜天さん» ほんとですか！？楽しみです！！いっぱいコメントしちゃってすいません(･･;) (2020年7月16日 18時) (レス) id: d4768f32ab (このIDを非表示/違反報告)
夜天(プロフ) - みかんさん» ですよね！！すでに青い鳥アプリの方でちょこっとプリレジェとのコラボ作品書いてたりするんで、それを長編にしようかと... (2020年7月16日 16時) (レス) id: 29584efb35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夜天 | 作成日時：2020年2月26日 15時
