【完結】純情協和音《Ryota.K》

#１５ ページ15

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そこからの時間はなんだかすごく早く感じた。

ずっと運転する涼太くんの横顔を見ながら、他愛のない話をして。

彼が連れてきてくれたのは、高級ブティック。


『お、お高そうな … 』

「今日は借りるわけにはいかないから」


何の躊躇もなくお店の中に入ってく涼太くん。

そんな私は、リッスン終わりのラフなシャツでお店の中に入っていく。









店員さんに好みを伝えただけで、私の好きなデザインのコーディネートを持ってきてくれる。

その私のコーディネートに合わせるように、男性のコーディネートも横に置いていく店員さん。


店員「美男美女のお二人なら、そのコーディネートでも着こなせますよ」

『そう、ですか … 』


チラッと見えたこのドレスのお値段。

結婚式の時同様、簡単に手が出せないような値段が書かれている札が下がっている。


「Aはどれがいい？」

『え … あ、えっと … 』









一番この場にあるコーディネートで気に入っているのは、白に近い黄色のロングドレス。

それに合わせる涼太くんのコーディネートは紺のジャケットに、濃い黄色のチェックのパンツ。









でも、それがこの中で一番高い。

デザインなのか、生地なのか、装飾品のせいなのか。

私には理由は分からないけど、どう考えたってゼロの数がおかしい。









私の視線に気付いた涼太くんが「これ？」と黄色のドレスを手に取った。


「これがいいの？」

『あ … いやぁ … 』

「えー、じゃあどれが … 」


完全に彼を困らせてしまった。


『そ、それが良いんだけど … 』

「だけど？」


店員さんがいるこの場で値段の心配なんてできるわけなくて、そこ言葉が詰まってしまう。

何も言わなかったからか、彼は「これにします」ろトータルコーディネート2着分を店員さんに頼んだ。









どうする、私。

もう後に引けないぞ。









店員さんはそれをもって奥のフィッテングルへと私を誘導して強制的にカーテンを閉められて、もう逃げられない。

心臓がバクバク。

食事会のことより、このドレスのことで頭がいっぱいになってどうしようもない。









観念してドレスに袖を通し、店員さんに最後の仕上げをしてもらえば完成。


店員「あとは、メイクと髪を結えば完璧ですねっ」

『あ、ありがとうございます … 』


こんなに綺麗なドレスを着ているというのに、全然気分が上がらない。



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