#１９ ページ19
.
昔のことを思い出していたらだんだん腹が立ってきて、飛び起きて砂浜を海めがけて飛び出した。
『くそぉおおお！！！』
「な、なに … っ、きゃっ！！」
Aを押し倒して、2人で海に落ちた。
『ちょっと！！なにすんのよ！！』
「 … なんか腹立って」
『やるなら一人でやってよ！もう！！』
バシャッと、水を掛けてくるA。
珍しく俺もそれで火がついたのか、彼女に問答無用で水を掛けまくる。
いつも緑豊かなところでしかAの姿を見たことなかったから、この景色と彼女のコンビネーションの良さに心が躍る。
髪は濡れて肌に張り付き、服も濡れて若干透けて …
って別にそういう目で見てるってわけじゃなくて。
俺が言いたいのは彼女の笑顔と海って、最高だなってこと。
ずぶ濡れになるにはもう時間も掛からず、髪から滴るほど子供のように遊んだ。
こんなに心から笑えるようになったのはAのお陰。
今、すっげー楽しいもん。
見たこともないぐらい綺麗なその景色を後で描こうと、写真で撮ろうとした時、やっとポケットにスマホを入れっぱなしで遊んでいたことに気付いた。
「あ … 」
『もしかして … ？』
「 … そのもしかして」
予感は的中し、防水じゃなかった俺のスマホは活動停止。
電源すら入らなくなっていた。
「まぁ … 大丈夫じゃね？みんな俺がどこにいても気にしてねぇし … 」
気休めで一応タオルで拭いて、浜辺に戻った。
遊び疲れて浜辺で2人並んで海を眺めていると、彼女が膝を抱えて話し始める。
『初めて海に連れて行ってくれたのが、彼だったの』
「それで行きたいって … 」
砂を人差し指で遊びながら、どこか寂し気な笑顔で続ける。
『山で育ったから、海なんてって思ってたけど、バイクで走る海岸沿いの風がホントに気持ちよくて』
そうやってあいつの話をする彼女はいつも苦しそうなんだ。
でも、そうやって自分の中であいつの存在を整理しようとしている。
でも、話をしているうちに気付いた。
「聡の記憶を上書きしようとしてんだろ」
俺の言葉に目を泳がせるAの反応に、「図星だろ」って付け足す。
「 … 無理すんなって、今は一人じゃないんだから」
いつものように彼女の肩を抱き寄せた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 522人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
夜天(プロフ) - Mei宮さん» コメントありがとうございます。そうなんです、智くんなんです！これからもよろしくお願いします。 (2019年5月27日 19時) (
レス) id: 11791f34cd (このIDを非表示/違反報告)
Mei宮(プロフ) - 続きがまさか智くんの物語で読めるなんて!! すごく嬉しいです！楽しみにしています♪ (2019年5月27日 18時) (レス) id: b1ed9ae736 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：夜天 | 作成日時：2019年5月26日 23時
